集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『ベランダに手をふって』(葉山エミ・作/植田たてり・絵)

セミ0804。 暑い一日でした。出先では外気温計が37度を示していました。  東京2020オリンピックが終盤になっていますが,注目していることがありますか。  先日,“オリンピックに見るデザインの歴史”の話を聞きました。そのなかで知る“視点の変化”が新しかったです。
アート…消費者(?)に見方を委ねる デザイン…消費者(?)に使われ方を委ねる
と,あるオリンピックが節目となり変わってきて,今につながっていると。確かに,それ以前と以後とは違っているようです。  新型コロナ禍の開催で変わっていくものは…。  「いい話の図書館」で30冊目の図書『ベランダに手をふって』(講談社・刊)です。  この本を読んでいると,「(今年の)課題図書を読んでいるの?」と家族から声をかけられました。文字の大きさ(?),植田氏の挿絵…,そこから感じたのでしょうか。  本に恋する小林店長は,「本に恋する店主の呟き新聞」に
 これは児童書です。子供に自立心が芽生え,いつまでも子供でいることがカッコ悪く思える──きっと誰にでもあるそんな時期を,この作者は子供になって書いていると思いました。  助けられたり頼ったりすることは決してカッコ悪いことではない,一人でかんばらなくていいんだ,むしろ「みんなの中の自分」になることが大人になるということなんだ,とわたしも気づいた一冊です。
とメッセージを載せています。  児童書であることが,脇から見て気づく装丁のようです。  この本は,「第22回ちゅうでん児童文学賞」の大賞受賞作品です。
 父親が亡くなってから、毎朝登校するときに母親と手をふり合うのが日課になっている輝(ひかる)。そんな朝の「決まり」を同級生に見られからかわれる原因になる。輝は、そろそろ手をふり合うのを卒業したいという想いと母親を傷つけたくないという想いのはざまで葛藤する。  時を同じくして、輝は、同じく父親を事故で亡くした同級生の田村香帆(たむらかほ)とよく話すようになる。香帆は母親と二人で再出発するために、運動会で行われる保護者との二人三脚競争に強い想いをかけていたが……。
 本に「『ベランダに手をふって』 選者のことば』があり,斉藤氏,富安氏,鷲田氏の選評がありました。これを先に読むか,後にするか迷いながら,もくじを開きました。  まず読もう…。  主人公の塚原輝は小学生,そして香帆,同級生…。  彼らが描く,子供から思春期に向かう姿…。  香帆が輝に,お母さんのようすを話します。
 「悲しい気持ちに食べられちゃった,みたいな感じかな。朝も起きられないし,ごはんもつくれないし,泣き出したらとまらなくなるし」  香帆の声は絵は明るいけど,話の内容にぼくはぎょっとした。
 この話を聞いて,輝は…。  輝も,香帆も,お父さんがいません。。
 香帆は安心したように言った。  「みんなにからかわれて,塚原くんはすごくはずかしそうにしていたでしょ。それが原因でやめたりしたら,悲しいなって思ってたんだ」
 輝は,何をからかわれたのか…。  香帆が安心したのは,なぜ…。
○「『お母さんには悪いけど。大人になるんだ』ってな」  おじいちゃんの言葉が,午後の光の中にとけていく。 ○ てっきり,なんで? とか聞かれると思って,いくつもの言葉をよういしていたのに。
 子供はもちろん,大人のあなたも,「いってらっしゃい」「いってきます」,そして「ただいま」「おかえり」の愛しさ,魅力に包まれるお話です。  児童書だから子供…と言わず,大人にもお薦めの一冊です。
   もくじ 1 朝の「決まり」 2 二人三脚競争 3 お父さん 4 香帆の決意 5 運動会 6 クリスマス 7 新しい日々 8 大人になる
【関連】   ◇植田たてり (@ue_tateri)Twitter)   ◇ちゅうでん児童文学賞(公益財団法人ちゅうでん教育振興財団) ?【「いい話の図書館」】  ◇最近紹介した本   ◇『風は山から吹いている』(額賀澪・著)(2021/07/15)   ◇『人生に、エールを。』(志賀内泰弘・編・著)(2021/06/14)   ◇『ジュリーの世界』(増山実・著)(2020/05/22)   ◇『母からゆずられた前かけ』(宮川ひろ・著)(2021/04/20)   ◇『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監)(2021/03/02)  *以前に紹介した本は   ☆カテゴリー「いい話の図書館」から 「いい話の図書館」とは… 本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,苦しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。  そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。   ◇いい話の図書館【申込】   ◇小林書店さん (@cobasho.ai)Instagram写真と動画)   ◇志賀内 泰弘Facebook