集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

みどりの日。『出口版 学問のすすめ』(出口治明・著)

花0504。 今日は,国民の祝日の一つ「みどりの日」です。「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し,豊かな心をはぐくむ」とされます。  新型コロナ禍でも,いつものように新緑が輝いています。ゴールデンウィーク後半,新緑の美しさを愛でましたか。息吹きを感じていますか。  表紙に,古代ギリシャ風の装束をまとった男の人の姿が描かれた本がありました。  そして,副題にある“考える変人”に興味をひかれて『出口版 学問のすすめ: 「考える変人」が日本を救う!』(小学館・刊)を読みました。  著者を知りませんでしたが,「還暦でライフネット生命を創業,古希で立命館アジア太平洋大学学長となった」という方でした。  著者は「学び」と「勉強」について,
「人に会う」「本を読む」「旅をする」といった実体験を通じて知識や考える型,発想のパターンなどを吸収(インプット)し,咀嚼した結果をアウトプットすることによって自分のものにしていくこと──。その一連の営みが学びであり勉強だ
としています。  識者に聞く,本を読む…ことで“学んだ”と思ってしまいますが,それだけでなくアウトプットをしていくことで学びになっていくのです。
 Tシャツなどをいくらたくさん持っていても意味がありません。しかし,タンスの中をきちんと整理しておくとスムーズに取り出すことができます。この「タンスの整理」に当たるのが,インプットしたことを「自分の言葉で置き換えること」,即ちアウトプットです。言葉は本質的に思考のツールであり,人は自分の言葉によってタンス(頭)の中を整理するのです。
 他でもアウトプットの重要さを聞きますが,なかなか出来ずにいるように思います。本書の中で,インプットやアウトプットの“姿”があり,自分に合った“”が見つかるように思います。  各章の後に,「学びのスペシャリスト対談」が載り,5人の言葉,そして出口氏の言葉から,本編で述べられたことに,別の切り口を感じました。  著者の言う“思考の基本は「数字・ファクト・ロジック」「タテ・ヨコ・算数」”から,今の学び,これからの学びを考えてみませんか。  読書メモより
○ 「数字・ファクト・ロジック」,「エビデンス」で考える。 ○ 僕はいつも,物事を正確に分析するためには,「タテ・ヨコ・算数」で考えることが大切だと思っています。 ○ あとどれだけ埋蔵されているのかを「推測できる」という前提をおくこと自体が,いかにも人間らしい傲慢さです。 ○ 集中力の正体は,意外に思われるかもしれませんが,鈍感であることです。 ○ 「日本人は勤勉だ」と言われているのはあくまでも見かけだけの話。 ○ イソップ童話の「酸っぱいブドウ」よろしく,現実から目をそらすことになってしまいます。 ○ 遊び心のほかに,イノベーションを起こす要素をもう一つあげるとしたら,「サボリ」ではないでしょうか。僕はこれを,「4+5=9はあかん」と表現しています。 ○ 「4つのP」が必要です。(略) 僕の4Pは違います。「purpose(目的)」「peer(仲間)」「passion(情熱)」「play(遊び心)」です。 ○ 「いろいろな知見を集めて,社会の常識にとらわれず,自分の頭で,自分の言葉で,何ごとでも自由に考えられる人」 ○ きちんと学べばおいしい生活ができる可能性が広がる一方で,勉強を怠れば破滅につながるかもしれない──。その差は,いま皆さんが想像している以上に大きいと思うのです。
   もくじ はじめに 第1章 人はなぜ学ばなければいけないのか 学びのスペシャリスト対談  1 ハマる門には福来たる!?──池谷裕二  2 宇宙の謎解きはやめられない──吉田直紀 第2章 「教育」の難題に挑む 学びのスペシャリスト対談  3 考えるバカが世界を変える──生田幸士  4 人を育てる覚悟──加藤積一 第3章 「変人」のすすめ 学びのスペシャリスト対談  5 「生きる」という勉強──ヤマザキマリ おわりに
【関連】   ◇出口治明 (@p_hal)Twitter)   ◇立命館アジア太平洋大学