『コロナと潜水服』(奥田英朗・著)
暖かい日になりました。肌寒さを感じる風もなく,柔らかい日差しで気温が上がりました。
ただ,当地も“黄砂”が飛来したようです。視野が遮られるほどではありませんが,床を拭くと色が変わりました。困ったことです。
昨日のニュースで,「VISAが米ドルに連動するステーブルコインを決済に利用する計画が報じられた後、反発した」と報じていましたが,それ以前から仮想通貨の価格が上昇しています。株価も30,000円に迫っています。
こうした“上昇”と“実体経済”が乖離しているとも言われますが,これからの動向は…。
表紙に描かれた"星座”,それを眺める"親子”,そして題名の"コロナ”が気になった『コロナと潜水服』(光文社・刊)を読みました。
5作が収録された短編集で,表題作は4番目です。
読み終え,奥付の前に「Spotifyプレイリスト」があり,そのQRコードも掲載されていました。作品に,いろいろな曲が登場しており,そのプレイリストでした。この曲を聴きながら読むと,作品の読み方が変わったかもしれません。
本書を読む前に,プレイリストの確認をしておくとよいと思います。
最初の「海の家」
ひと夏,家族と離れて暮らすことになった。 村上浩二は四十九歳の小説家で,二歳年上の妻と,大学生の娘と息子がいた。この小説家が暮らすことになった葉山御用邸近くにある"築九十年くらい”の日本家屋です。
・ ペットボトルの水を飲み,一息つく。そのとき背中に視線を感じた。 ・ そのとき,二階の廊下を誰かが走る音がした。トントントン。浩二は子供の足音だと思った。 ・「走らないでください」 浩二が教師のような口調で声を上げた。ピタッと音がやむ。その家で耳にしたのは…。 家の近所で,海で出会ったのは…。 怪談のような話,怖い話かと思いながら読みますが,主人公のところに現れる「見えない何か」が,存在感をもって語りかけてきます。 5作それぞれの「見えない何か」が伝える"こと”に,心が温かくなってきます。
「ファイトクラブ」早期退職の勧告に応じず,追い出し部屋に追いやられた三宅邦彦(46歳)が,新たに始めたこととは… 「占い師」人気プロ野球選手と付き合うフリー女性アナウンサー 浅野麻衣子が,恋愛相談に占い師を訪ね… 「コロナと潜水服」テレワークとなった渡辺康彦(35歳)が,5歳の息子から"命令”のように言われて… 「パンダに乗って」ずっと欲しかった古いイタリア車を手に入れた小林直樹(55歳)が,新潟で受け取り,運転を始めると…どの話も,ちょっと不思議なファンタジーです。 読み終えて,ほっこり,笑顔で,優しい気持ちになれる作品です。
Contents 海の家 ファイトクラブ 占い師 コロナと潜水服 パンダに乗って【関連】 ◇小説宝石(光文社) 【おまけ】 朝刊に,愛知県・名古屋市の教職員異動が掲載されていました。 中日新聞Webの「先生サーチ 教職員異動検索」でも異動が調べられます。 「あの先生は,どこに異動した?」に応えてくれます。 *検索項目 「氏名」 「異動区分」 「職名」 「新勤務先 」 「旧勤務先」