『つくもがみ貸します』(畠中恵・著)
晴れて気温もあがりましあが,何となく肌寒い日でした。
しかし,陽気が良く,出かけるときと帰りとの"景色が変わって”いました。3分咲きと見えていた木が,帰りには「もう満開?」と見えるほどの変化でした。
一気に"春”がやってきたような一日でした。
昨年の秋,NHK Eテレで『つくもがみ貸します』の再放送があり,それを見ていました。
その原作である『つくもがみ貸します つくもがみシリーズ』(角川書店・刊)を読みました。
アニメを見て"はなし”を知っており,アニメで登場人物(?)の"イメージ”を描いていました。でも,違います。
他の作品でもありますが,小説や物語とアニメや映像とは,別の作品でした。内容が違うわけではなく,"楽しみ方が違う”のだと思います。さらに,どちらを先に読む・観るかによっても"楽しみ方が違って”くると思います。
つくもがみと一緒に,江戸・深川へ出かけましょう。
ちょいとお前さん,お前さんのことだよ。 どっちを向いているのさ。ああ,あちこち見ても,私は目に入らないよ。今,風呂敷に包まれ小さな荷となって,人の背に負われているからね。姿が見えないのさ。"誰もいない”ところで,こんな声が聞こえても驚かず,聞き耳をたてると…。 主人公(?)は,江戸・深川で古道具屋兼損料屋の出雲屋を営む お紅 と 清次 の姉弟です。そして,出雲屋にいる付喪神(つくもがみ),さらに佐太郎も,主要な登場人物です。 出雲屋を舞台として,「蘇芳」(すおう)を巡る物語が展開していきます。 江戸の人々は,着物や食器,布団,掛け軸,茶器,櫛…ありとあらゆる品物が必要に応じて貸し出されていました。 お紅と清治の古道具屋兼損料屋も,客に品物を貸し出し商いをしています。この出雲屋の古道具の中には,生まれて百年を経て"付喪神”という妖怪に化したものが多くありました。そして,付喪神は"人の噂話”が大好きです。 お紅と清次は,付喪神の姿や言葉が見えたり聞こえたりします。その評判を聞き込んで,付喪神が集まってきて(集めて)しまい,出雲屋は賑やかです。 気位高く,悪戯好きで,お節介… 退屈をもてあました噂大好きの付喪神達が,貸し出された先々で拾ってくる噂話が…。 お紅と清治,付喪神と,噂話と騒動を楽しみませんか。
目次 序 利休鼠 裏葉柳 秘色 似せ紫 蘇芳【関連】 ◇つくもがみシリーズ(KADOKAWA) ◇TVアニメ『つくもがみ貸します』公式サイト