集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『ただいま神様当番』(青山美智子・著)

花0122。 朝から曇った天候で,雨の降りだしそうな空でしたが,屋外の活動に支障のなかったようです。  とはいえ,巣ごもりの続く日々で,“屋外の活動”はゴミ捨てだけで歩数計も寂しがる一日でした。  朝起きたとき,腕の内側に“黒いもの”があったことがありませんか。  そのとき“不思議なこと”に出会っていませんか。  “黒いもの”を見つけた5人のお話『ただいま神様当番』(宝島社・刊)です。  その黒いものは,“太くて大きな文字”でした。「神様当番」と印刷されたような文字が書かれています。  突然の文字に驚いていると,しゃがれた声が聞こえます。  「お当番さん,みーつけた!」  見知らぬお爺さんが,部屋の隅の床にちょこんと正座しているのです。
 小柄で痩せていて,額からてっぺんに向かってつるつるで,頭の両脇に白い毛がもわもわと生えている。
 泥棒か…強盗か… 見ず知らずの人がいたら,誰でも驚き,大きな声を上げますよね。急いで警察に電話を…。  でも,電話をかけるのは思いとどまります。前日の出来事を思い出したからです。  毎朝利用しているバス停「坂下」に,付箋が付いた「○○」がありました。その付箋には,サインペンで走り書きしたような文字で「おとしもの」とあります。  まわりを見回しても,誰もいない…。  鞄・バックの中に押し込んで…。  その「おとしもの」の持ち主かと思いましたが,そうではなかったようです。
「どなた…ですか」 「わし? わし,神様」 「…は?」 (略) 「お願いごと,きいて」  お願いごと? 「わしのこと,○○して」
 5人それぞれにお願いごとがありました。そのお願いを叶えるのが当番の役割で,終わらないと文字は消えませんし,神様も居続けます。しかも“腕の中”に入ったり出たり…。  最初のOLへは「わしのこと,楽しませて」と。  二番の小学生には「わし,最高の弟が欲しいなあ」と。  三番の高校生には「わし,リア充になりたい」と。  四番の大学非常勤講師には「わし,美しい言葉でお話がしたいの」と。  五番の零細企業社長へは「わし,えらくなりたいの」と。  一番のOLの話を読み,彼女の思い,出来事,そして神様の“無茶な動き”を楽しく読み,その“結果”と,そこからの“気づき”に,心が温かくなりました。  二番になって,「あれっ」と。この子は,バス停に“いつも決まった顔ぶれの五人”の一人のようです。  三番,四番,五番…,皆,坂下バス停から毎朝乗り合わせる人達でした。  神様のお願いに,どのように5人が追求していくのか,わくわくします。  奇想天外な神様に振り回されますが,いつのまにか悩みも解決していて…。  あなただったら…。  読書メモ
○「葵さん,上司に腹が立ったとき,どうしてる?」  「ひそかに,かわいいあだ名をつける」 ○ そんなふうにアイディアを出し合うだけで,ものすごい高揚感を覚えた。(略) 単に楽しいって,それが私たちにとって一番大事なことだった。 ○「怒っているとか悲しいとか,そういう気持ちは一番にしっかり伝えなくちゃだめだよ。その後にちゃんと笑うためにもね」 ○ そうだ,神様が言っていた「お話」はきっと,スピークではなくトークだ。 ○「パワフルだな。自分だってあんなにハードなのに,どこにそんなエネルギーが」  「愛されているからでしょう。みんなが彼女を愛して,彼女はそれ以上にみんなを愛するんです。そのエネルギーが循環している。ネネさんは応援の持つ莫大な力を知っているんです。ひとりで叶えられる夢など,何ひとつないってことも」 ○「あんたが…左手が,勝手にしてきたことって,俺が本当の本当はやりたかったことだよな」 ○「世の中っていうのは」  「えっ」  「たいがい,誰かのおとしものでできてるんじゃよ。最初から自分のものなんて,何もないんじゃ」
   目次 1 水原咲良(OL) 2 松坂千帆(小学生) 3 新島直樹(高校生) 4 リチャード・ブランソン(大学非常勤講師) 5 福永武志(零細企業社長)
【関連】   ◇青山美智子 (@michicoming)Twitter)   ◇Tatsuya Tanaka 田中達也 (@tanaka_tatsuya)Twitter