新明解国語辞典。大昔の稲作(3) (つくで百話 最終篇)
晴れた日になりましたが,強い風が吹いて,いろいろな物が吹き飛ばされそうでした。この風で,木々の葉も落ちてしまいました。
寒さが増してきます。服を一枚増やそう。
聞き逃していたTBSラジオ『赤江珠緒たまむすび』月曜日をradikoで聴きました。
2時からの「竹山、ガムテープ買ってきて!」で,“ラジオに関する調査報告”がありました。
新明解国語辞典の「ラジオ」の用例が「最近のラジオはおもしろくない」。 19日(木)に第八版が発売されるが、「ラジオ」の用例は変わっているのか?という内容でした。 手元に新明解国語辞典が無いので確認できませんが,1972年に発売された初刷りから,今の第七版まで,ラジオの用例は変わらず「最近のラジオはおもしろくない」なのだそうです。 調査報告に興味津々で聴き入りました。 そして,木曜日(19日)に発売される『新明解国語辞典 第八版』で確認…。 果たして第八版で,「ラジオ」の用例は変わったのか…。 『つくで百話 最終篇』(1975・昭和50年7月 発行)の「民族と伝承」の項からです。 ******** 大昔の稲作 西尾敏男 三、 初期の稲作は今のように広々とつづく田園地帯に黄金の波,などというわけにはいかない。稲作に適した土地というのは,それほどつづいて沢山あったわけではない。海岸の砂丘地,河川の流域,それに谷の出口に広がる扇状地など,湧水の出る低湿な所を利用したのだから,たとえ平野であっても,ここかしこ,点々と稲が作られていたに過ぎない。 品種は今と同じ系統の日本型のものであるが,今ほど純粋ではなく,細長いものなどの混ったものだった。木製のスキで起こし,木製のクワで均らす。スキといっても人力用である。厚い長い板を石斧ではつって,丁度,今のスコップのような形にしたもの。クワは,今の鍬にほとんど似た形のものだった。いずれもアカガシやクヌギなど,材質の丈夫なものが使ってある。 肥料はもちろんない。無肥料栽培である。草や柴を肥料に使うようになるのはずっと後のことで,鉄製の鋤や鍬が使われるようになってからだという。田植えをしない撒播きである。撒播きとはいっても,草とりに入れるように,多少のふみきりは作ってあっただろうと思う。これといった水田管理はない。濯漑水路があるわけではなく,自然の湧水を使っているのだから,むしろ排水につとめた方である。女のひとの仕事として,鳥を追ったり,水を見まわったり,時には草とりぐらいの手入れはあったと思う。 秋,取り入れである。仲間の女のひとが連れだって収穫にかかる。それぞれに石庖丁という,石でつくった鎌の刃だけのような収穫具を持って,穂首から摘みとっていく。湿田であるから,足が踏み込んでしまっては仕事にならない。そこで田下駄が必要になってくるのである。摘んだ穂を集めるためには田舟がほしい。人間の考えることは二千年前も変わらない。田下駄も田舟も木で作ったスキやクワといっしよに,遺跡から出土しているのである。 摘みとった穂束は日に乾して貯蔵しておき,時析り取り出しては籾摺りし,精白して大型の壷に入れて日々の用に供する。搗いた米を炊いて粥にするのは甕である。当時精白米にしていたかどうかは明らかでないが,しかし穂のまゝを竪臼に入れて竪杵で搗き,時祈り箕に掬い出してはひだしてまた搗く。籾摺りから搗精までを一貫して行なっていたことは間違いない。竪臼を真中にして女のひとが二人,竪杵をもって両側に立ち,交互に搗いている様子は,銅鐸などの浮彫りの絵に出てくる。 男のひとは,開墾もしなければならない。耕作もする。家族を養うには,なお食糧が不足するので野山に猪を追い,海へ魚とりにも行った筈である。 ******** 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話最終篇」〉で 注)『続 つくで百話』の記事は〈タグ「続つくで百話」〉で 注)『つくで百話』の記事は〈タグ「つくで百話」〉で 【関連】 ◇【竹ガム調査報告】新明解国語辞典『ラジオ』の用例=「最近のラジオはおもしろくない」。今週発売の第八版で用例は変わったか!?(赤江珠緒たまむすび/金曜たまむすび TBSラジオ) ◇『新明解国語辞典』第八版 特設サイト(三省堂)