集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

浮浪雲が語りかけるのは(浮浪雲選集)

浮浪雲0709。 今日も…。  激しく降ったり,小雨になったり…。    大雨,浸水による被害,被災地のようすを伝えるニュースに,胸が痛くなります。  早く雨の止むことを願うばかりです。  大雨により休校となった子供,避難して登校できずにいる子供がいます。  東京都で新型コロナウイルス感染者が,1日あたりの人数が過去最多とのニュースがありました。  “不安を大きく”する子供は,どんな話をするのだろう。  学校・先生は,何ができるだろう。  “浮浪雲”なら,どんな声をかけるだろう。  そんなことを思いながら『浮浪雲選集』(1993年刊)を読み(?)ました。  『ビッグコミックオリジナル』(小学館)に44年間連載され2017年9月に終了した作品(全1,039話)で,作者のジョージ秋山さんは,今年5月12日に亡くなられました。  『親子編』「壱の親子 成りがたし」に,このような言葉があります。
おカメ:(息子 新之助の受験結果を心配して)大丈夫 かしらね,今日の試験。 浮浪雲:駄目 でしょう。 おカメ:また そういうことを。どうして そういうことが いえるんですか。 浮浪雲:頑張って ないかからです。 おカメ:自分なりに 頑張ってましたよ。 浮浪雲:自分なりじゃ 駄目なんです。
 試験の結果は失敗。寺子屋の先生も「なぜ落ちた」と不思議がる結果を,浮浪雲は見抜いていました。  自分なり」ではダメなのだと。  その後,息子 新之助は,父親 浮浪雲に教えを乞います。  浮浪雲新之助に課したことは,桶に水を汲むこと。  浮浪雲は言います。
 いいですね,いっぱいに なるまで ですよ。  自分なりの 考えで やらないように ……
 新之助が,浮浪雲が準備した道具に文句を言っているとき,お花(娘)に伝言を言わせます。
 父上は 違うそうです。  人に 教えを乞う時は 自分なりの考えは やめなさいって。  そうしないと 悟れないって。
 子供は,何ごともしっかりやっています。それが“自分なりの…”なのか気に留めていないように感じます。  その姿を,安易に「いいね」「頑張ってるね」と褒めていねいでしょうか。勘違いしていることはないでしょうか。  もう一つ「六の親子 草笛の丘」から。  勉強をしない息子 新之助を,母親 おカメが心配しています。
おカメ:硯なんかほこりだらけで… 浮浪雲:まっ,いいじゃねえですか。 おカメ:良くはありませんよ。  黙っていればそのうちやるかと思えば,まったく机に向かおうとしないんですからね。 (略) おカメ:すこしは父親としてなにか…… 浮浪雲:やってますよ,あちきも。  水平線を見に行かせましたから。
 その後も,息子 新之助の様子は,変わりません。  ある日の夜,布団で尋ねます。
浮浪雲:毎日水平線を見てますか。 新之助:まあね。 浮浪雲:どうでした。 新之助:どうって……やっぱし海は大きいなあ…って思うよ。(略)
 ある日,二人で舟に乗り,沖に出ます。そして一言。
浮浪雲:新さん ずーと水平線を(略)
 ……  新之助が変わりました。  今,大人の“ことば”が,子供に伝わっているでしょうか。
   目次(親子編) 壱の親子  成りがたし 弐の親子  ひとがら 参の親子  花の二代目 四の親子  不可思議 五の親子  春風たいとう 六の親子  草笛の丘 七の親子  大草原の対決 八の親子  一年生 九の親子  春の風景 拾の親子  直立不動 拾壱の親子  大円鏡智 浮浪雲の子育て処方箋 あとがきにかえて(ジョージ秋山ビッグコミックス浮浪雲掲載作品一覧
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