集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『店長がバカすぎて』(早見和真・著)

花0417。 “曇りから雨”の予報でしたが,夕方まで雨を心配することはありませんでした。  「交通事故が減っている…」とニュースが伝えていました。在宅勤務が増え,外出自粛が続いていることが影響しているようです。  以前,地域の交通安全推進協会が,「笑顔で,明るく,楽しく」をスローガンに交通安全を呼びかけていました。
笑顔で … 笑顔のある地域に事故はない。 ○ 明るく … 明るい地域に事故はない。 ○ 楽しく … 楽しい地域に事故はない。
 外出・活動自粛が続くなか,〈笑顔で明るく楽しく過ごす〉ことが肝心のように思います。  交通事故の話から思い出しました。  「2020年本屋大賞」の大賞受賞とはなりませんでしたが,ノミネート作品の一つ『店長がバカすぎて』(角川春樹事務所・刊)です。  面白かった。  東京・吉祥寺にある「〈武蔵野書店〉吉祥寺本店」を舞台に,契約社員谷原京子(28)が,書店に集う人々,出来事をコミカルに描かれています。  「笑いと元気をもらえるお仕事小説」とか,「会社を辞める前に読んでほしい本」との見出しを付けた書評がありました。
 「幸せになりたいから働いているんだ」  谷原京子、28歳。独身。とにかく本が好き。現在、〈武蔵野書店〉吉祥寺本店の契約社員。  山本猛(たける)という名前ばかり勇ましい、「非」敏腕店長の元、文芸書の担当として、次から次へとトラブルに遭いながらも、日々忙しく働いている。あこがれの先輩書店員小柳真理さんの存在が心の支えだ。  そんなある日、小柳さんに、店を辞めることになったと言われ……。
 第一話を開くと,吉祥寺本店の朝礼から話が始まります。でも,それが朝礼だと分かるのは少し先です。
 いつも通りの長い店長の話に,いつもよりはるかに苛立っているのに気がついて,私は整理が近いことを思い出した。
 なんて店長だ! ガマンしなよ!… そんな気がする場面が思い浮かぶのですが,もう一度「同じフレーズ」が出てきます。  その場面は…。  主人公の“本が大好き”なようす,“本を愛する”気持ちがあふれてきます。  主人公を取り巻く“魅力的な人々”の行動と言葉,そのことで“わくわく,もやもや”する主人公の気持ちが,予想通りであり超えていきます。  読み進めながら,主人公に同化しているような気もしてきます。  6話の“バカ”を楽しみ笑い飛ばし,元気になる話でした。  読まずにいるのはもったいない一冊です。
   もくじ 第一話 店長がバカすぎて 第二話 小説家がバカすぎて 第三話 弊社の社長がバカすぎて 第四話 営業がバカすぎて 第五話 神様がバカすぎて 最終話 結局、私がバカすぎて
読書メモ
○ 職場環境に不満はあるし,自分の将来だって不安だ。欲しい本の好きなように買えないし,好きなように買ってしまえばたちまち生活がままならなくなる。頼りになる上司はいないし,何せ店長がバカすぎる。 ○ 一気に「プロローグ」と「第一章」を読み終えたとき,私は本を閉じた。最初のページに戻って,一から読んでいく。本当にいい本に出会えたとき,私は決まってそうしている。 ○ そもそも本の感想なんて千差万別であるはずだ。誰かにとって救いになり得る物語が,誰かにとっては強烈な批判の対象であったりする。ネット上のレビューがいい例だ。私が良かったと感動した本で,そこそこの感想を集めている本は,たいてい賛否両論にあふれている。結果,星は大体「3.5」に集約される。私と小柳さんはそれを「3.5理論」と呼んでいた。 ○ すべての秘密がここにある──。  (略) いまいる〈イザベル〉につながったときには,たくさんいたはずのお客さんがいなかった。ざわめきも,BGMも消えている。ひっそりと静まり返った喫茶店で,私はまったく減っていない黒豆ココアをごくごく飲んだ。  案の定ぬるく…
【関連】   ◇店長がバカすぎて 公式アカウント (@tencho_ga_BSTr)Twitter)   ◇ランティエ(株式会社 角川春樹事務所 PR誌)   ◇本屋大賞