集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『桃太郎は盗人なのか?』(倉持よつば・著)

紅葉1118。 日中は雲の多い天候で,夕方になり雨が降ってきました。乾燥していた空気に湿り気が加わったようです。  一雨ごとに寒さが増していくことでしょう。  午後,紅葉のようすを見ながら散策しました。  数日前に通ったときには色づきも少なかった所が,黄色や赤が美しくなっていました。  巴川の紅葉は美しくなってきていましたが,もう少し待った方がよさそうでした。日ごとに色づきが変わっていきそうです。  昔話や童話の絵本は,子供達に人気があります。皆がよく知る話も多くあります。  その主人公は「善人」で,その周囲に「悪人」がおり,それを倒したり,退治して,「めでたしめでたし」という内容で,その勧善懲悪な展開に安心して読めるような気がします。  しかし,内容が残酷であったり一方的であったりします。Eテレ昔話法廷」も,「悪いのはどっち?」と子供達に問いかけていました。  そうした問いかけを感じる題名の『桃太郎は盗人なのか?―「桃太郎」から考える鬼の正体』(新日本出版社・刊)です。  この本は,昨年(2018)の「図書館を使った調べる学習コンクール」で文部科学大臣賞を受賞した作品が書籍化されたものでした。  この夏も,多くの小中学生が“自由研究”に取り組んだと思いますが,この作品(内容)は,充実度と構成が他が真似できないほど凄いものです。  以前紹介した『文房具図鑑』で,小学生の凄さに驚きましたが,本書は「研究」「追究」の姿勢に感心しました。  「調べようと思ったきっかけ」を次のように始めています。
 去年(2017年)は,お母さんと妹と一緒に,高速道路の渋滞について調べ,コンクールで優秀賞・NHK賞という素晴らしい賞をいただきました。その副賞でいただいた本の中に『空からのぞいた桃太郎』という本がありました。手に取ると黄色い帯には,衝撃的なことが書いてあったのです。  「鬼だから殺してもいいの?」  「あなたはどう思いますか?」
 この本を手にし読んで,「どうして鬼はいつも悪いと一方的に決めつけられているのかを調べてみたくなりました。」と調べ学習を始めています。さらに,「今年は,どうしても自分一人で取り組みたいと思い,目標を決めて進めていこうと思います。」と,目標(仮説)をたて,調査,追究をし,検証する,そこから“新たな疑問”が生まれ,次の調査へと,「もくじ」にあるような調べ学習が進みました。  この調査で読んだ本は,200冊以上になったそうです。この数にも驚きです。  「資料編」に,「桃太郎」の読み比べや,調べ学習で参考にした本が紹介されています。  小学校5年生が,夏休みに取り組んだ調べ学習で得た知識,それを自分のものにしていく過程が追体験できます。  ぜひ子供達に読んで欲しい一冊です。  大人の皆さん,子供の「桃太郎は盗人なの?」と疑問に,あなたはどう答えますか?
   もくじ はじめに 調べようと思ったきっかけ 第一鬼 桃太郎は盗人なのか 第二鬼 鬼退治に行った理由とは?〜「桃太郎」読み比べ〜 第三鬼 かわっていく桃太郎 第四鬼 鬼はどうして悪者だと思われているのか?〜鬼は何者?〜 第五鬼 現在の鬼像〜「泣いた赤鬼」から〜 第六鬼 まとめと感想 資料編 ・桃太郎は盗人なのか?−「桃太郎」から考える鬼の正体− ・全ページ一覧 ・表彰式でのお礼の言葉 ・後記
【関連】   ◇図書館を使った調べる学習コンクール(公益財団法人 図書館振興財団)     ☆受賞作「桃太郎は盗人なのか? −「桃太郎」から考える鬼の正体−」   ◇昔話法廷NHK for School)   ◇『文房具図鑑』(山本けん太ろう・絵・文)(2017/06/17 集団「Emication」)