増税…。「伊兵衛狐」(つくで百話)
青空の綺麗な日でしたが,午後雲が出て雨が降りそうでした。
秋の雲というよりも,夏の入道雲が湧き出ているように思えました。
明日から10月,消費税増税が大きな話題になっています。増税前の今日も“騒動”が各所で起こっていたようです。
「○○は,増税後の方が安かった…。しまった。」ということも,明日以降ありそうです。
皆さん,“残念な買い物”してしまいませんでしたか。
今日,「覚えていますか?」と声をかけられました。懐かしい顔,素敵な大人の顔です。
良い話を聞かせていただきました。
その方と話を終えると,別の方から「覚えていますか?」と声が…。びっくり、そして嬉しく思いました。
素敵な話でした。
その前には,久しぶりに会う大学の先生と“今どきの教育”について話ができ,課題(連携)の方策を聞けました。
楽しい時が得られ,過ごせました。
ありがとうございました。感謝
『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「怪奇物語」から紹介です。
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伊兵衛狐
大和田の嶋功さんの先祖には,院殿大居士の戒名を授けられた方もあり,昔から金満家でもあり,菩提寺の慶雲寺へも多額の寄進をしていたようであります。この嶋家で,ある時,京都の伏見稲荷からお稲荷様の分身をお迎えして屋敷の一隅におまつりすることにしました。お稲荷様の祠の前に建ててあった石燈龍が,今では塩瀬の秋葉様のお燈籍となっております。
お稲荷様をおまつりしてからは,そのお告に随って,いろいろやる仕事が,ことごとに成功して,益々財産はふえてゆきましたが,その中にお稲荷様が封を切ってくれと再三頼みましたが,これを黙殺しておりますと,嶋家の奥様が行方不明になってしまいました。あちこち探しますと,二階屋根の片隅に押込められて,身動きもできない窮屈をさせられておりましたので,やむなく封切りをしますと,お稲荷様の子狐がドンドンふえて始末におえなくなりました。屋敷の周囲に築かれた石垣の上や,空地,はてに川原にまでウロウロしていて,通りがかりの人々も気味悪かったときいております。
この狐を伊兵衛狐といっておりましたが,近所や隣村に病人があると,その人について困らせたそうです。上作手の方でも,伊兵衛狐につかれた人が多勢ありました。「大和田の伊兵衛狐にとりつかれ,福は来ないでこんこん」などと世間でいいはやされたこともありました。さしもの豪勢を極めた嶋家も,幕末のころ,海老の代官所から,苛酷な追微金を賦課されたために,次第に衰微して,往時の面影は全く消滅してしまいました。
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