集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『わたし、定時で帰ります。』(朱野帰子・著)

花0827。 8月も残り少なくなりました。  地域によっては,すでに夏休みを終え学校が始まっています。また,“秋休み”のために夏休みを短くしている学校(市町)もあるようです。  暑さ対策,多忙化解消,そして教員の働き方改革で,“学校のようす”が,保護者の子供の頃とは大きく変わってきています。  みなさん,うまく対応できていますか。  この作品を原作にしたTBS火曜ドラマが話題になりました。主人公 東山結衣を吉高由里子さんが演じ,その“仕事ぶり”に,賛同(?)と反発(?)の声があったようです。  テレビドラマになって知った作品で,番組終了後に読んだ『わたし、定時で帰ります。』(新潮文庫です。  ウェブ制作会社で働く30代女性の主人公(東山結衣)は,“定時で帰る”ことをモットーとして働き,中華料理店のサービスタイム終了前に入店しビールを味わう…,そうした日々を楽しく過ごしていました。  彼女は“定時に帰ります”とは相容れない,すぐに辞めたがる新人,風邪でも出社する女性,産後に高速復帰する先輩,ワーカホリックな元彼,無理な案件を持ち込む上司などに囲まれています。  そんな彼女がチーフになり,“みんなが定時に帰る”ことを実現するように奮闘を始めます…。  チームが担当する案件を進めるなかで,インパール作戦に重なって見えてくる場面があります。その解消を図るために,
 インパール作戦に投じられた兵士は約十万人。そのうち三万人以上が死んだという。  どれだけの家族が,父や,兄や,弟や,息子の遺影を抱きしめて泣いたのだろう。  その時,結衣の目の前に,ふいに幼いころから眺めてきた父の姿が蘇った。 (そうだ…!)  結衣はすぐに母にラインした。今から,父の“あれ”を借りに行っていいかと。
と“あれ”を用意し,メンバーに話をすると…。  チーフとして結衣が目指してきたことに迷いながら,
 自分の声が少し震えるのがわかった。 「定時で仕事を終えて,大事な人と会って,ゆっくる休んで,美味しいものを食べて…。そういう生活をみんなが遅れるようにしたいと思った。大人になって,会社に入ったら,きっとそうしようと思ってた。夢とかじゃないの。…できるはずだって思い込んでいた」
と語ります。  そこから…。  悩みつつ,案件の期限を守るため,“定時に帰る”ことから離れた“仕事”をすることになっていきます。  その仕事を進めていくと,不思議な世界へ入り込んでしまいます。
 命を賭けてたどりついたわりに…つまらないところだ。熱狂が冷め,不気味さだけが胃に溜まった。  うしろから走ってきたサラリーマンに肩がはじかれた。謝りもしない。血走った目をして,遅刻する,と走っていく。むっとしながら一応,おじさんに訊いてみる。 「ここって,ビールないですよね?」 「ビールなんて飲んでる場合じゃないんだよ,結衣ちゃん」おじさんの皮膚がむけ,スーツが腐り,白骨になっていく。「とにかく忙しいのでね」
 さて,この案件は期限までに終えられたのか…。  結衣(主人公)の恋や結婚は…。  「定時で仕事を終えて帰る」ことができる会社・勤務先になるのか…。  ドラマを観た人も,ドラマを知らない人も,これからの働き方,自分の生き方を考えることのできる作品です。  この作品の続編『わたし、定時で帰ります。 ハイパー』(新潮社・刊)があるようです。
定時の女王は体育会系ブラック企業に勝てるのか!? 大注目のお仕事小説第二弾。絶対に残業しない主義の結衣だったが、とうとう管理職になってしまう。新人教育を任されたものの、個性的過ぎる若者たちに翻弄される毎日。そんな折、チームが参加することになったのは、差別的なCMが炎上中の企業のコンペだった。パワハラ、セクハラのはびこる前時代的で超絶ブラックな社風に、結衣は絶句するが…。定時の女王はホワイトな職場を守れるのか?
 管理職となった結衣が,どのように“働く”のか興味があります。これも読もうか…。
   目次 第一章 皆勤賞の女 第二章 スーパーワーキングマザー 第三章 会社に住む男 第四章 期待の新人 第五章 仕事が大好きな人 解説
【関連】   ◇火曜ドラマ『わたし、定時で帰ります。』(TBSテレビ)