集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「夏休みあるある」は? 「小林の三滝」(つくで百話)

花0819。 「今日は雨となり…」と天気予報が伝えており,昼前に降り出したときは「もう雨か…」とあきらめましたが,わずかな雨ですみ,その後は降らずに済みました。  小中学校の“学校閉校日”(期間)も過ぎ,子供達の夏休みも後半に入りました。先月の新聞に「夏休みアルアル」と題したコラムがありました。
○ 夏休みの朝はラジオ体操で始まった。(略)出席のスタンプをためると最後の日にご褒美がもらえるので,子供達は眠気に負けず頑張って参加した。 ○ 夏休みの昼間,子供達は学校が開放するプールに通った。… ○ 夏休みの夕方,子供達は広場に集まった。子ども会球技大会に向けての練習である。… ○ 子供達は友達と川で遊び,原っぱで虫を追いかけ,どれだけ黒くなったかを競った。…
 ところが現在では,公園は静か,猛暑でプール中止,世話役がいない,子ども会が無くなった,熱中症や不審者が心配,日焼け(紫外線)から肌を守って,…。  今,子供達の「夏休みあるある」に,明るさや元気を感じるものは,どのようなものがあるでしょうか。  さて…。  『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「川に因んだ話」から紹介です。 ********     小林の三滝  上小林の作造山に源を発した小林川がおよそ一,五キロメートル流れて滝の口に至りますと,激流は直下して三つの滝となります。上滝は高さ八メートル,巾一,五メートル,ここに不動様がまつってあります。中滝は高さ五メートル,巾一、五メートル、下滝は高さ七メートル、巾ニメートル,常に白飛沫が飛散して雲霧が立ち昇り,滝の傍らに生い茂っている楓,欅,樫などの巨木とともに見事な景観を呈しております。  下方を流れている巴川から遡ぼる鯇,鯉,ハヱ,鰻なども下滝までは辿りつきますが,飛瀑にさえぎられて,ここから上へは一尾も昇りません。随って上小林には,どじょう以外の魚類は全然みうけられなかったのですが,大正以降住民が放流したので,鯇,鱒,ハヱなどが多少存在するようになりました。  古文書には,この三滝のことを次のように述べています。  その風景実に愛賞すべきものなり。然れ共本村の如きは最も甚しき山間僻地にして,常に雅客の往来もなし。随って訪う者もなし。故に有名無実を嘆し世人に反して,土人は実ありて名なきを憂う。云々。  徳川時代には,下の滝の,すぐ上の道端に庵寺がありました。その頃のある日小林村の若い衆が,この庵寺で,お日待ちをやって,大いに気勢をあげて散会しました。上小林の連中が,庵寺から百メートル程坂を登って,上の滝までくると,急にあたりがパット昼間のように明るくなりました。前方の滝の上に聳えていた大木に五色の天蓋がかかっており,静かに下の方にさがってくるではありませんか。一同腰を抜かさんぱかりにびっくりして,再ぴ庵寺に引き返し,一晩中南無阿弥陀仏を称えてふるえていたそうです。この時の若い衆の中の一人は大正年間まで生きておりましたが「天狗様におどかされてあんなにおそがかったことはなかった」と述懐しておりました。 ******** 滝坂渓谷0819。 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で 【参考】  「鳴沢の滝」「保永の三滝」「小林の三滝」と,の記事が続きました。  作手地区の各所に滝を見ることができ,それにまつわる話も多く残っています。先月,作手田代区から『滝坂渓谷のお滝群 ウォーキングコース』が発刊されました。  「田代本滝」「トヨ滝」「帯屋滝」「白滝」…  観光地ではありませんから,“探検・探索”となりますが,高原の夏・秋を楽しみながら滝巡りはいかがですか。