『道徳ってなに?』(内田樹・著)
強い日差しはなく,雲の目立つ空でしたが,晴れの一日でした。
朝,「相談があって…。」と父を訪ねてみえた方がありました。留守にしていたので,お話をうかがいました。
用件をお聞きした後,いろいろ話をしました。若い頃の仕事,今のようす…。
「車がなくては,何もできない。食べることもできない。…」自動車に乗って来て,運転して帰って行かれました。
90歳,…。お元気ですが…。
図書館の書架に“道徳”の本が並んでいました。教員に向けた書籍だけでなく,子供や保護者を読者とする本が多くありました。
道徳が“教科”となり,教科書の使用もはじまり,関心が高まっているからでしょう。
そのなかに,大型本の「シリーズ・道徳を考える」がありました。絵本と言うには文章が目立ちますが,子供に向けた絵と内容でした。
著者を見ると,内田樹氏でした。『街場○○論』といった話の多い論客・学者ですが,子供向けの本は珍しく思い,『道徳ってなに? (道徳を考える)』(かもがわ出版・刊)を読みました。
この本のついて,「はじめに」で,
みなさん,こんにちは。内田樹です。 道徳の本を書くようにたのまれました。 なにを書いたらよいかわからないままに,「うん,いいよ」と引き受けてしまいました。 (略) きっとそれは,道徳というのがそれだけ手ごわい言葉だからだと思います。 かんたんにあつかうことをゆるさないこの「手ごわい言葉」について,これから考えることにします。と,読者の子供達と“一緒に考える”ことを呼びかけています。 学校でいう「道徳」,大人がつかう「道徳」,社会の「道徳」と,同じ言葉で言われていますが,それが“同じ”か問われると,同じこともあるし違うこともあり,分からなくなってきます。 それでも,「道徳」という言葉を使ってしまいます。 最初に,「神さま」の意味を問われ,「道徳」の言葉の意味を辞書で調べ,「道徳的なふるまい」に話が進みます。 そして,それに続く「うすっぺらな道徳と厚みのある道徳」で,
どれもそれぞれの仕方で「正しい道徳」なのです。ただ,そこには程度の差がある。その程度の差をもたらすのは,こう言ってもよければ,一人ひとりの成熟の差です。 (略) 僕はそう思います。と述べ,「パート2」で具体的な場面から“厚みのある道徳”へ考えを巡らせます。 最後の『僕の「まとめ」』まで,いろいろな“考える”ことに向かい合う一冊です。 漢字にはルビが振られています。お子さんと一緒に「道徳」を考えてみませんか。
もくじ パート1 「道徳」という言葉について考えてみよう ・意味がわからないままつかわれる言葉 ・「道徳」という言葉の意味 ・うすっぺらな道徳と厚みのある道徳 パート2 具体的に考えてみよう ・満員電車で席をゆずるのは、だれ? ・歌にうたわれないヒーロー パート3 さらに考えてみよう ・だれかがしなければいけないこと ・だれが最後の席をゆずるべきか? 僕の「まとめ」 用語辞典 さくいん【関連】 ◇道徳の本(予告編)(内田樹の研究室) ◇内田樹 (@levinassien)(Twitter) ◇道徳教育(文部科学省)