『虫捕る子だけが生き残る』(養老孟司 他・著)
良い天気の一日でした。気温も高く“暖かい日”でした。
10年(一昔?)ほど前に読んだ(紹介した),著者に,養老孟司氏,池田清彦氏,奥本大三郎氏と著名な3名が並ぶ本です。
帯には,「大事なことは,みんな虫に教えてもらった!」と,どこかで見たようなコピーが付いていました。
それが,『虫捕る子だけが生き残る~「脳化社会」の子どもたちに未来はあるのか~』(小学館101新書)です。
この3氏は「虫好き」でつながっており,この本より前に『三人寄れば虫の知恵』という本を一緒に書いています。
だからこそ「虫捕り…」なのでしょう。
3章で構成され,すべて3氏の鼎談で進みます。
その「第1章 虫も殺さぬ子が人を殺す―虫の世界から見た教育論」では,“虫捕り”を通しての3氏の教育論です。
10年たった今も,その内容は参考になるものです。
「第2章 虫が生きにくい社会にしたのは誰か―虫の世界から見た環境論」は,次々と3氏から虫の名前が飛び出します。今も,やっぱり分かりませんでした。
「終章 虫が栄える国を、子どもたちに残そう―虫と共生する未来へ」で,話がまとめられています。
途中で「概念化」の話題になります。
概念化の時期,概念を受け入れないと普通に社会生活が送れない…といった話から,
養老 そう,面倒だから適応させている。 池田 だから,概念が固まっていない小さな子どものうちに虫を見はじめないとね。 奥本 逆に,感覚のままだと人に伝わりにくいんです。概念をつくらないと人に伝えられない。つまり,文化にもならないわけですよ。と続いていきます。 概念の前に“虫の体験”が必要かどうかは別にしても,「体験」で“感覚を養う”ことは,とても大切なことです。 小学校の学習が,「体験から感覚を,そして概念づくりへ」と続いていくことが,これにあたると思います。 安易に座学で済ませてしまうと,子供の成長を阻害してしまいます。 この後に,「自分の感覚が“違う”と言っている」ということを大切にできることが,言葉の獲得や学問の深化につながっていくことが述べられていきます。 すべてが“虫”で語られることに抵抗がある方もあるでしょうが,子育てや教育の「今」と「これから」を考えるヒントが,この本に見つかる一冊です。 【関連】 ◇池田清彦 (@IkedaKiyohiko)(Twitter)