集団「Emication」別館

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『かがみの孤城』(辻村深月・著)

栗0930。 台風24号が強い勢力を保ったまま沖縄地方から九州と,日本列島を縦断する進路をとっています。  当地では,午前中は「本当に台風がくるのだろうか。」と思える天候でした。このままでは…。  被害がなく過ぎていくことを願っています。  主人公 安西こころが,自分の存在を消そうとします。
 四時を過ぎたら,もう,一階にいてはいけない。  二階のカーテンも,朝と同じようにまた閉める。  その音を待つ間の緊張感は,毎回,ものすごい。
 本屋大賞2018年受賞作で話題になっている『かがみの孤城』(ポプラ社・刊)ですが,その題名,表紙の他は,よく知りませんでした。  いじめられた中学1年の女の子が不登校になり,部屋にある鏡に誘われて“奇妙な世界”に入っていきます。  そこにいたのは,狼の面をつけた少女「オオカミさま」でした。そして6人の中学生「ウレシノ」「フウカ」「マサムネ」「スバル」「アキ」「リオン」が,それぞれ鏡に導かれてやってきています。
あなたを、助けたい。  学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた。 ―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。 生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
 その「城」には,一人一人の部屋があり,皆で使える部屋もありました。  ここで7人に命じられたのは,「願いを一つだけ叶えられる“願いの鍵”」を探すというゲームでした。見つけた鍵で“願いの部屋”が開けられるとゲームが終わります。期限は翌年3月30日までで延長はありません。  主人公 こころの設定について,辻村氏はインタビューで
 こころは読者にいちばん近いと思える子にしようと思いました。  ある出来事が理由で学校に行けなくなり,自分はこぼれ落ちてしまったという自覚がある子です。学校に行かなくなったきっかけは,周囲に“いじめにあったんだね”と言われそうですが,本人は“あれはいじめじゃない”と言うと思う。いじめだと大雑把に括られて同情されるのは嫌なんです。  今回はそういうことを掘り下げたいと思いました。他の六人の子も,つまずいてしまった理由はどれも突飛な理由にはしませんでした。そうすることで,自分もそうなってもおかしくなかった,という人の心理も掬い上げたかったのだと思います。
と述べています。
 喜多嶋先生を見上げながら,洪水のように思いが溢れてきて,それで気づいた。これは,質問じゃなくて,本当に聞きたいわけではなくて,私の願望だ。  気づいてほしい,という願望だ。  なのに言えない。
 その城で,部屋で,鏡の前で,周囲で… 起こることに驚かされ,一緒に考えさせられます。  “自分”に重ねて物語のなかに引き込まれます。  もう,読まれましたか。 【参考;台風24号の進路】
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