集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『銀河鉄道の父』(門井慶喜・著)

夏?0827。 気持ちよい風が吹きますが,気温が上がり暑い夏に戻った一日でした。  日の出は遅くなり,日の入りは早くなっていますが,日中は厳しい残暑が続きます。お気を付けください。  つくで交流館の図書室に「芥川賞直木賞の受賞作」が並んでいて,その一冊『銀河鉄道の父』(講談社・刊)を読みました。  第158回直木三十五賞に選ばれた作品です。  題名の「銀河鉄道」は“宮澤賢治”のことであり,その父 政次郎の立場から,“変わり者”の息子 賢治が描かれています。  “宮澤賢治”の名前も作品も知っているつもりですが,その生い立ちなどは知りませんでした。  それを知りました。  また,賢治の生きた時代の生活や家族について,「へ〜,そうなんだ。」ということがありました。  家の主(あるじ)として,
 政次郎は,目の奥で湯が煮えた。  あやしてやりたい衝動に駆られた。いい子いい子。べろべろばあ! それは永遠にあり得なかった。家長たるもの,家族の前で生をさらすわけにはいかぬ。つねに威厳をたもち,笑顔を見せず,きらわれ者たるを引き受けねばならぬ。
と,行動を制しています。  今,こうした“家長の姿”をする大人がいるでしょうか。  こうした世に,賢治は生を受け,成長していきます。
 清六へ,手帳をさしだした。 (略) 「どこも相手にしなかったら」  賢治はそう言うと,胸から下は動かさず,こけしのように首だけを政次郎へ向けて, 「そのときは,迷いのあとだ。処分してください,お父さん」  すなわち賢治はこのとき,成功は弟に,失敗は, (私に託した)
 この手帳は…。託されたことは…。  とても楽しく読みました。  宮澤賢治の作品を読みたくなりました。きっと,これまでと違った感想を抱きそうです。  父と子の“世界”を,あなたも訪ねてみませんか。
   目次 1 父でありすぎる 2 石っこ賢さん 3 チッケさん 4 店番 5 文章論 6 人造宝石 7 あめゆじゅ 8 春と修羅 9 オキシフル 10 銀河鉄道の父