集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『西郷どん!』(林真理子・著)

砂山0804。 「暑いですね。」  このところ,あいさつは,まずこの言葉です。ほんとに暑い!  明日は…。  放送が始まると,「方言が何を言っているのか分からない。」とネットが騒がしくなったNHK大河ドラマ『西郷どん』の原作本『西郷どん! 並製版 上中下巻』(角川書店・刊)です。  大河ドラマが決まってから,書店にはハードカバー(上製版)とソフトカバー(並製版)が平積みされていました。しかし,それを手にすることなく放送開始を迎えました。  幕末の志士の中でも,とりわけ有名で人気のある西郷隆盛の生涯が描かれた小説ですから,“知っている話”と思っていましたが,“林ワールド”は少し違っていました。  日経新聞の連載もあるし…。  大河ドラマが中盤を過ぎ,原作を読みました。  本作は,明治37年の京都から始まります。
  明治三十七年十月十二日。  その日上本能寺前町にある京都市役所の職員たちは,みな緊張を隠せない。今日,新しい市長が着任するのである。しかもその市長はただの官僚ではない。なんとあの西郷隆盛の息子だというのである。
 西郷隆盛の息子 西郷菊次郎が二代目京都市長として着任します。  そして,川村鉚次郎が「どうか私に,西郷先生のことを教えてください。」と菊次郎に願い,それに応えて「父の人生」を語って進んでいきます。
 私がこうして生きていることについては,いろいろな意味があるのですが,今まで人に語ったことはなく,あなたもほとんど何も知らなかったはずです。しかしこうして父のゆかりの土地にも来ました。私ももう若くはありません。そろそろ父親のことをじっくりと思い出すときがきているのかもしれませんね。
 テレビドラマや映画となる小説は,“その違い”に感心し,「“監督”や“脚本家”は凄いなあ。」と思います。  本作も,読み終えて思います。「違う作品だな」と。  菊次郎の語りは,次の言葉で終わりました。
 私は考えるのですよ。あの熱狂は何だったのだろうと。単なる判官贔屓でもない。失われた時代への懐古でもない。  悲しいことに,私はまだそれを見つけることが出来ません。しかしあと百年たったら,答えが出るような気がします。  その時の日本は父が言ったとおり,どれほどかましな国になっているでしょうか。
 ここからの大河ドラマの“展開”が楽しみなった原作でした。  もう読まれましたか。 【関連】   ◇NHK大河ドラマ『西郷どん』   ◇西郷どん!(せごどん!) 2018年大河ドラマ原作 特設サイトKADOKAWA