『島耕作の農業論』(弘兼憲史・著)
朝から「晴れて暑い日」を予想していましたが,雲が厚く雨の降る天候でした。
午前中,寺の作業がありました。作業は,境内の植木の選定や掃除,そして山林の雑木切りでした。
久しぶりの山仕事で,傾斜のある緩んだ足場は,作業がし難かったです。
山に,刈払機・草刈機やチェーンソーの音が響き始めた時,作業をしている上方を,“獣”が走り抜けていきました。
大きな鹿でした。
人の気配や音に驚いて移動したのでしょうが,「もし,そこに人がいたら…。」
あの大きさ,あの速さには,人はかないません。びっくり。
ケガをしたり熱中症になる方もなく作業が終わりました。とても綺麗に,とてもすっきりしました。
みなさん,お疲れさまでした。
“島耕作”と言えば,「週刊モーニング」の人気連載の主人公です。
2013年,ついに会長に就任しました。会長として取り組むテーマの一つが「農業」です。
著者の弘兼憲史氏が,作品を描くにあたって国内外を取材し,そこから「農業こそ,これからの日本が生きる道」として,それを語るのが『島耕作の農業論』(光文社新書)です。
当地も,米作,花卉栽培,高原野菜栽培などが盛んで,新規就農者も増えている“農業地域”です。
これからの農業について,当地のようすを重ねながら読みました。
帯に,
日本の農業の「現在」を,島耕作とともに楽しく学べる一冊 農業は,クリエイティブでカッコイイ仕事だ!と載せ,夢を描かせています。 本書では,日本農業の現況を紹介するとともに,日本より狭い国土ながらも合理的な経営で対外競争力を持つオランダの農業を紹介しています。 オランダは,農業輸出額で米国に次いで世界第2位を誇りますが,国土は日本の1/9,人口も約1,700万人と日本の1/8程度にも拘らず,一人あたりの農地面積が日本の8倍,一人あたりの生産額は14倍だそうです。 これは,農業教育や研究に注力していること,農業経営の集約化・大規模化による効率化を図っていることなどが要因です。 こうしたオランダの“姿勢”には,これからの「日本の農業」を変えていくモデルがあると述べています。 また,いろいろな取材先を例にして,“農業”を語っています。 その例の一つに「獺祭」があり,農業が学ぶべき点として,次の記述がありました。
獺祭の成功に日本の農業が学ぶべき点がいくつかある。 過去の“しがらみ”がある旭富士という名前を使わず,獺祭のブランドを新しく作り上げたこと。それが,シンプルな包装など時流に合うものであったこと。 また,酒造りの過程におけるIT技術の利用。 そして,日本酒の伝統を守りながら…他の項でも,農業とIT技術について述べています。 まだ“生かされていない技術”は様々あり,それを組み込んだ構造に変わっていくことで“農業が産業になる”と述べているように感じました。 当地は,合併当初から“市内全域の情報基盤”が整備されていますが,その情報基盤が農業経営には十分に生かされていません。農業だけでなく他業種でも“活用”とはなっていません。 発刊から時が過ぎ,新たな技術開発も進んでいます。情報基盤を利用し,そこに新たな技術を乗せていくことで,当地の“農業”が魅力ある職場・産業になっていくのです。 書籍に描かれたように“将来は明るい”と容易には言えないでしょうが,「今のままではマズイ」と誰もが感じていると思います。 農業に係る方もそうでない方も,「日本の将来」を考える一冊としていかがですか。
目次 第一章 新浪剛史×弘兼憲史の農業立国宣言 第二章 農業こそメイド・イン・ジャパンを! 第三章 日本の農地はおかしなことだらけ 第四章 合理的農業国オランダに学べ 第五章 誰が「米」を殺すのか 第六章 攻めの農業が日本を元気にする 第七章 久松達央×弘兼憲史の農業未来論【関連】 ◇会長 島耕作 / 弘兼憲史(モーニング) ◇ 弘兼憲史『会長 島耕作』 番外編『島耕作のアジア新世紀伝【漫画版】』第1話(2016/05/20) ◇獺祭の蔵元(旭酒造株式会社)