『雪まんま』(あべ美佳・著)
天気の良い日でしたが,冷たい風で“寒い日”でもありました。
今週前半は晴天が続くようです。屋外に出て“春”を楽しみたいと思います。
昨日の午後は,新城市遺族会作手支会の評議員会,今日の夜は,つくで交流館開館一周年記念週間の打合せ会がありました。 sakujituno
それぞれ“次”に向けた相談と準備が進んでいます。ありがとうございます。
この話題は,また別の機会に。
数年前に紹介した本です。
『雪まんま』(NHK出版・刊)は,日本農業新聞に連載されていた小説が加筆修正され出版されたものです。
舞台は東北の農村です。
新聞の連載の最終回は,2011年3月12日でした。東日本大震災の翌日です。
読んでいたが,この最終回を読めずにいた方がみえたかもしれません。
その小説が,「震災後」に舞台を変えて出版された小説です。
連載時には,大震災が起こることは分かっていませんから,出版にあたって大幅に書き換えられたのだと思いますが,すぐに舞台に入っていけました。
宮城県山間部に暮らす東海林ゆきは,農家の一人娘です。
米作りをしている祖父だけで,ゆきの父親は稲作に見切りをつけ家族を養うため役場勤めをしています。そのおかげで,ゆきは大学を卒業し,教員をめざします。
採用試験に失敗するものの隣県の臨時教員として歩み出そうとします。
そんな彼女の運命を変えるできごとが,3月11日の東日本大震災です。
彼女は,何かしなくてはと,被災地におにぎりを届けます。そこで,米,そしておにぎりがいかに大切で尊いものかを感じます。
稲作問題は,農家の問題だけでなく,景観を含め地域全体の問題だと考えた彼女は…。
震災の日,ゆきは実家にいました。
友達はみんな無事なんだろうか? もしも一人で寮に泊まっていたら。町場を歩いていたら,買い物でもしていたら,ドライブで海の方へいっていたら… 恐ろしい想像が膨らんでは消えた。友達の無事を心から祈った。 この家はこんなときでも生活するのに困らない。米は秋に採れたものが何袋も積み上がっているし,生の野菜も大根も,(略) 恥ずかしかった昔ながらの生活が,こんなにも強いものだだったとは。当地も,農業をはじめ,その他の産業も,“雇用”という面で不安です。 そのなかで,農業には雇用を生み出す「力」があると思っています。その担い手は,若者でなくてはなりません。 しかし,一から若者が始めるには,“今”の厳しさがあるような気がします。 将来の街を築いていくには,政治と行政が“不公平”に動き出すことも必要だと思います。 政治や行政に期待して久しい…。