集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『ブラック部活動』(内田良・著)

葛0919。 当地は,よい天気になりましたが,北海道では台風の影響が残ったようです。  “秋の空”で,涼しい風が吹き,気持ちのよい一日でした。  先週末から延期された運動会・体育大会を行った学校では,秋晴れのもと力一杯の競技や演技がみられたことでしょう。応援の家族のみなさんは,お休みがとれたかな。  先月紹介した『部活があぶない』(島沢優子・著)に続いて,部活動問題に関する本です。  二分の一成人式,組み体操,部活動など教育が“良いこと”として実施してきたことに隠された問題を提起し,社会問題としての動きをつくっている内田良氏の『ブラック部活動 子どもと先生の苦しみに向き合う』(東洋館出版社・刊)です。  「ブラック○○」と言われる事柄は,それぞれの働き方について問題になっています。  本書の「ブラック部活動」についても,部活動を“ブラック”というのではなく,その“制度”や”あり方・運営”について問題提起をし,これからの“未来展望図”を示しています。  本書のなかでも触れられていますが,部活動の制度(?)や経緯については,先の『部活があぶない』を合わせて読んでおくと,提起された問題について理解が深まるでしょう。  さらに,『「先生が忙しすぎる」をあきらめない』(妹尾昌俊・著)で,働き方改革へのアプローチが明らかになってくるかもしれません。  すべての大人が経験していると言って過言ではない「部活動」です。  楽しかった,苦しかった,好きだった,嫌だった,厳しかった…  その内容は異なるでしょうが,多くの人が「今になったら,青春の良き思い出です。」と口にする部活動です。  それゆえに,これまで“あたり前”に行われてきたこと,そして“過熱”してきたことに,疑問をもっても“問題”にされずにきました。それが“普通”だと思ってきました。残念ですが,今も同じかもしれません。  そこに「普通じゃない」「過熱しすぎ」と声を上げ,もっと「普通に取り組める」ように変えていこうと訴えています。  「部活動」「学校」「教育行政」と言っても,それぞれの地域や年度によって変わり,本書の記述と同じのことも違うこともあると思いますが,大きな流れのなかで「これから」を考えさせられます。  そして,「立場をもつ方」「責任ある方」には,“具体的な行動”をお願いしたいと強く思います。  先生,保護者,地域の方々にお読みいただきたい一冊です。  読書メモより
○ 教員の側からすれば,「知らない」のではなく「知る必要がない」のである。(略) これまでの学校文化が教員によるタイムマネジメントを疎んだことも背景にある。 ○ 残業の実態を見える化させない法制度と,残業の実態を正当化する教員文化。職員室のなかにいる限りは,当事者にはこの問題はなかなか自覚されない。教員の働き方改革を進めるためには,学校内部の教員文化に風穴を開けなければならない。そのためには,国や自治体の教育行政による外部からの積極的なはたらきかけが,不可欠なのである。 ○ これを「教員の指導の再生産」と呼んでいます。 ○ ここでよほどの強い意志がない限り,この圧力をはねのけることは難しい。保護者の武器は「子どものため」である。子どものために大事な関わりを,あなたは放棄するのか,と。こうして教員は,部活動の指導に駆り立てられていく。 ○ 部活動の未来展望図は,「居場所」の論理を土台にして描かれる。 ○ 「居場所」の論理は,けっして競争つまり試合やコンクールを完全排除するものではないし,勝つことを否定するものでもない。勝つことは楽しいし,それこそがスポーツや文化活動の醍醐味にもなる。だが,居場所の論理における勝つことの比重は,競争の論理よりもはるかに小さい。 ○ 職員室でもっと授業の話がしたい
   目次 はじめに 第1章 「グレーゾーン」を見える化する 第2章 自主的だから過熱する――盛り上がり、そして降りられなくなる 第3章 自主的なのに強制される――矛盾に巻き込まれ、苦悩する 【COLUMN】 Twitter発、世間を動かした「部活動の正論」 第4章 強いられる「全員顧問」の苦しみ 第5章 教員の働き方改革――無法地帯における長時間労働 【COLUMN】 部活動の法的根拠を探るなかで見えてきたこと 第6章 素人が顧問 第7章 過剰な練習、事故、暴力――苦しむ生徒の姿 【COLUMN】 スポットの当たりにくい小学校の部活動 第8章 先生たちが立ち上がった! 第9章 未来展望図――「過熱」から「総量規制」へ 【COLUMN】 職員室から広げる 生徒・教員の負担軽減 座談会 部活動のリアル 内田 良/真由子/藤野悠介 おわりに
【関連;本書掲載のリンク等】   ◇学校リスク研究所(主宰・内田良)   ◇部活動リスク研究所(主宰・内田良)   ◇部活動問題対策プロジェクト   ◇内田良/学校リスク研究所 (@RyoUchida_RIRIS)Twitter)   ◇Ryo Uchida(内田良)Facebook)   ◇ 部活問題対策プロジェクト(@BMTproject)Twitter)   ◇ゆうけん (@yutakenta64)Twitter)   ◇神原 楓(@wakateowl)Twitter)   ◇小阪成洋 (@Daisuke_regards)Twitter)   ◇中村由美子(Y子) (@dai981026) Twitter)   ◇真由子 (@mayuko4460)Twitter)   ◇藤野悠介 (@thankstoryu)Twitter)   ◇部活動のあり方はおかしい!   ◇部活動の顧問は拒否するべし!   ◇部活動リスクによろしく   ◇公立中学校 部活動の顧問制度は絶対に違法だ!!   ◇生徒の心に火をつけるためのブログ