『古文書講師になれました』(宇野藍子・著)
天気の良い一日でした。
最初に,「この本を刊行するにあたって」を編集部が書いています。著者について
でも彼女は,特に歴史に興味があったわけでもなく,高校時代には日本史すら勉強することなく,理系を選択して大学に進みます。そして,たった独りで学習を始め,たった独りでWEBサイト「古文書ネット」を立ち上げて試行錯誤をして運営していました。と記されています。 その本が『古文書講師になれました―わたしの独学体験』(柏書房・刊)です。 宇野氏は,漫画家を目指しており,大学ではAIを専攻した理系女子です。 それでも,「くずし字が読みたい」の思いで“勉強”を始め,古文書講師にまでなっています。 こうした著者の“パワー”に背中を押される方も多いと思います。 イラストや四コマ漫画なども入って,古文書を全く知らない人も知る人も気軽に楽しめます。普段の古文書教室や講座のようすなども述べられ,最終章では古文書解読法が“ライブ感覚”で描かれています。 本書への思いが,「おわりに」で述べられています。
古文書を学び始めた頃には,想定していなかったことがあります。古文書を学べば,当然のこととして歴史に強くなる。それ以上でもそれ以下でもない──はずでした。 独りで本を読んでいるのが好きな性分の私は,柏書房の手引書を開いて,つまずきながらも1文字,1文字,覚えてゆく心地よさを感じていました。社会との一切の断絶。私だけの世界。私は江戸時代の人々と会話ができればそれで充分でした。 しかしながら,古文書にのめり込んだあとのほうが,老弱男女,円を描くように繋がりは広がって,その広がり方は本書に記した通りです。私の古文書の学びは孤独な闘いだったので,このような結果になるとは夢にも思いませんでした。 つまり私は,文書館で今までに目にしたことのなかった古文書を発見する以上に,古文書を通して新しい自分を発見することになったのです。 次はどんな古文書に,私に,誰に出会うのか──今日もまた独り,児玉先生の辞典をめくるのでした。さあ,あなたも古文書を楽しんでみませんか。
目次 この本を刊行するにあたって はじめに プロローグ──古文書を始める前に 闘いの記録◆前半戦 独学ライフはこのようにして始まった 独学で資格は取得できるのか 独学のコツは「長期戦のかまえ」 周囲に推されて古文書講師に 闘いの記録◆後半戦 独学の前に体を慣らそう その1 独学の前に体を慣らそう その2 本書で「古文書教室」を体験する! 独学経験から学んだ「覚え方の鉄則」 おまけ 参考文献 おわりに【関連】 ◇古文書ネット