『ぼくの死体をよろしくたのむ』(川上弘美・著)
朝から雲の目立つ空で,「日差しが暑い」と思ったら,「強い雨が降って」という変わりやすい天候でした。
雨が降ったことで,蒸し暑さも増しました。
暑い一日でした。
「普段読まない作品を読んでみよう」と思って書架をながめていくと,芥川賞作家の川上弘美氏の「名」が目に留まりました。
『ぼくの死体をよろしくたのむ』(小学館・刊)を読むことにしました。
読み始めて,芥川賞受賞作『蛇を踏む』を思い出しました。
“独特の世界観”が描かれていたことを…。
サイトの図書紹介に
<うしろ姿に胸がときめいたのは、生まれてはじめてのことだった>。いきなり胸をつかまれるような一文に出合えば、そこは作家の世界。淡い恋があり、生と死が交錯する瞬間があり、普段は言葉になりにくい不思議な出来事も起こる。行間に豊かなものがある18編の短編を収めた。とあり,別の紹介文には,
冒頭に置かれた「鍵」の主人公は、公園裏の神社に棲(す)む路上生活者に恋をする。ズダ袋の中には、必要のないはずの鍵が入っていて、彼女はそれをもらう。土日に会い、静かな時間を過ごす関係が続いて3年、男は突然姿を消す。 「その人が違う場所にいる姿を想像しても、わたしの中に嫉妬や心の揺れがわきおこることはない」と彼女は言う。 「けれど、わたしの持っている鍵を使って、わたしの知らない扉を開けていることを想像する、その時だけは、わたしの心は熱く熟してふるえる」という一節は、どんな濃密な恋愛小説のワンシーンより濃密に、感じられた。とありました。 残念ながら“行間の豊かなもの”に気づけませんでした。 “濃密な恋愛小説のワンシーンより濃密”なものは伝わってきませんでした。 読み切る“パワー”がでませんでしたが,川上ファンには“とても魅力的な作品”が満載の短編集です。 あなたもいかがですか。
目次 鍵 大聖堂 ずっと雨が降っていたような気がしたけれど 二人でお茶を 銀座 午後二時 歌舞伎座あたり なくしたものは 儀式 バタフライ・エフェクト 二百十日 お金は大切 ルル秋桜 憎い二人 ぼくの死体をよろしくたのむ いいラクダを得る 土曜日には映画を見に スミレ 無人島から 廊下【今日の小咄】 国語のテストで,「『おりから』を使って短文をつくれ」という問題が出た。私は「おりから象が逃げた」と答えたが,結果は不正解だった。