カバンと手提げと。昭和の『先生のいろは』 14
よい天気でした。
今日は,小中学校の修了式でした。
朝出かける途中で,登校する小学生の姿をいろいろな所で見かけました。
いつものようにランドセルを背負っている集団。
手提げを持つ子とランドセル姿が混じった集団。
手提げを持つ子と何も持たない子のいる集団。
……
それぞれの“学校の指導”の表れです。
「いつものように…」されたと思いますが,その意味や価値を意識されていましたか。先生,大丈夫ですよね。
ちょっと気になりました。
冊子『先生のいろは』の14回目です。年度末に向けて集中して紹介しています。
1977(昭和52)年頃と現在とは,社会のようすは大きく変わっていますが,「今も変わらず…」という内容もあります。年度末の今,改めて“今の先生方”にお伝えします。何か参考になることがあれば幸いです。
9 ?? ※資料の19,20ページが抜けており,当項のタイトルから(1)までが不明です。 (2) 真実を,いつでも,どこでも,誰にでも発表(発言)できるきびしさを持つことは大切である。勇気がいる。 自己の信念にもとづく実践をあえて行うきびしさがほしい。 この二点は誰しもがわかる筈であるが,若干条件をつけたい。 ○ 自己を忘れない。自己を失わない。自己を主張することは大切であるが,自分だけを自己としてはなるまい。相手もまた自己であるのであって,お互いが自己を主張しすぎては,事はできない。自由,自主,自発に注意。 みんなが自由を望んで自分勝手はことをすれば,みんなが不自由となり自分勝手ができないわけで,相手の自由を尊重すべきである。 ○ 学校には最高責任者である校長がいる。たとえ,自分の意見が正しいと思っても,校長の命令に反することは実践できないはずであり,秩序統制を欠く原因をつくってはなるまい。多数決は必ずしも民主的でない時もある。 (3) 世の中は,自分の思う通りにはならないものである。苦難を克服して実践する中にも楽しみがあり,幸福感が味わえるものである。 例えば,今日提出された作文やテスト等,引き出しへ入れたり,机上に積んでおけば,すぐ数日が過ぎてゆく。なるべく早くこどもに返すには,その気持ちをこどもと約束しよう。 「この作文(テスト)は,○○日に返すからね。」と。 約束をその通りに果たすきびしさを持ってほしい。計画的に。 (4) 割れたガラスは,その日のうちにはめかえよう。 割ったガラスは,割った者に責任をとらせよ。弁償もさせよ。たとえ弁償しても,割った罪は消えるものではない。という自覚が足らない場合が多い。 (5) 1日欠席するよりも,10分遅刻するような人間になるな。問題はそんな気持ちが気に入らない。こどもの中には,遅刻病とか見学病とか急性横着炎などがあるものである。そして,その親の性格や考え方に似た病気を持つ者がいるものである。 (6) 小学校でも高学年ともなれば,ナイフを使って鉛筆を削る位の事はさせるのがよいと思う。いい青年になっても包丁もとげない者がいる。情無いことだ。 (7) 酒やたばこは例外として,何でも食べ飲みすることのできるこどもにしたいものである。栄養のこともさりながら,とに角偏食等は不都合であり不自由である。不幸であるといってもよかろう。 時には食べず嫌い,飲まず嫌いの者がいる。調理する人の好みや調理技術に影響され,続いてその配偶者やしゅうと等の嫌いな物も食膳にはつきにくいものである。 (8) 先生がこどもにあやまってやる姿は尊い。間違っていたと気づいた時はすぐにあやまろう。 こどもに質問されたことがわからなくてはっきり返事ができないので,あれでもない,これでもないとぐずついた回答をしたり,あてずっぽうに答えたりしないようにしたい。 また,先生のことについて,こどもから批判されたり,各種の要望がでたりする。よく聞いてみなくてはならない。感謝の気持ちで。 例 先生,ぼたんがとれているよ。 先生の車,きたないね。 先生,そんな所へすいがらを捨てていいだかん。 先生,早くテスト返してよ。この前のテストね,点が違っていたよ。A君と同じに書いたのに,A君は○で,ぼくは×だったよ。 先生,早く教室へ来てよ。もう10分もすぎたよ。 (9) 会計については,こまかすぎる,ていねいすぎる位にきちんとしよう。集金する目的,使い道,決算報告など。 (10) いいつけることは簡単にするのに,すんでから見届ける,点検する,認めてやる……といった事がおろそかになりやすい。反省してみよう。 例 そうじがすんだ後の点検。いっしょになってそうじをするのが最もいいが,それができない時は,すんだ後位にしっかりみて,「ご苦労さま」と一言が大切。 宿題など,ただやらせるだけで答えも与えなかったり,時にはやってきたのかこないのかさえもたしかめない時もある。これでは学習意欲がおちる。 (11) 約束やきまりを守らなかった者に対しては,きびしく注意しよう。約束やきまりを守った者に対してほめてやることは,注意する以上に大切な指導である。教育とは,そんなきびしい仕事である。正しい人こそ教育できる。 (12) 人のやることには,あやまちもあり,時には善意でしたことなのに,結果的には悪い結果を招くことさえある。事を正しく理解してやらなくてはならない。(次回は,「10 あたたかい先生に」です) 【昭和の『先生のいろは』】 ○昭和の『先生のいろは』 「校門を入って」(2017/02/16) ○昭和の『先生のいろは』 2 「玄関や子供の昇降口に立って」(2017/02/18) ○昭和の『先生のいろは』 3 「校長室や職員室を眺めて」(2017/02/21) ○昭和の『先生のいろは』 4 「廊下や土間廊下を歩いて」(2017/02/23) ○昭和の『先生のいろは』 5 「便所」 ○昭和の『先生のいろは』 6 「各種の室(教室を除く)」 ○昭和の『先生のいろは』 7 「教室(前半)」 ○昭和の『先生のいろは』 8 「教室(後半)」 ○昭和の『先生のいろは』 9 「授業(1)〜(4)」 ○昭和の『先生のいろは』 10 「授業 (5)書くこと」 ○昭和の『先生のいろは』 11 「授業 (6)仕事をする」 ○昭和の『先生のいろは』 12 「授業 (7)学習形態」 ○昭和の『先生のいろは』 13 「授業 (8)先生よ くり返して述べよう」 ○昭和の『先生のいろは』 14 「??」 ○『先生のいろは』 その10 「あたたかい先生に」 ○『先生のいろは』 おわりに 【関連】 ◇3月24日 修了式での話(新城市立黄柳川小学校) ◇平成28年度修了式 式辞(春日井市立高森台中学校) ◇2017.3.24 平成28年度修了式式辞(江南市立古知野北小学校) ◇修了式式辞(小牧市立北里中学校) ◇3月24日(金)平成28年度修了式<校長室より>(一宮市立西成中学校) ◇3/24 平成28年度を終えて(知多市立八幡小学校)