『あきらめないことにしたの』(堀米薫・著)
「あの日」から6年。
「あの時」,2011(平成23)年3月11日 14時46分18秒。大地が大きく揺れました。
今,復興への歩みはさまざまです。
自分にできることは限られていますが,できることを一つずつ。
福島の「かーちゃんたち」の話『あきらめないことにしたの』(新日本出版社・刊)です。
扉を開くと,福島のかーちゃん“とみ子”さんの詩があらわれます。
あきらめないことにしたの 渡邊とみ子 沢山悔しい思いをしたよね 沢山,沢山泣いたよ でも,生きてる やっぱり止まっては駄目だよ どんなに小さな一歩でも前へ進んだら ほらね。実ってくれたんだもの 植物は,こんな状況の中でも 頑張って生きているんだもの だから私は あきらめないことにしたの著者が,この詩を書いたとみ子さんに会うため福島市に出かけます。緊張していた気持ちは,とみ子さんの「あらあ,いらっしゃい!」との声で,ふうっとゆるみます。 とみ子さんの飯舘村での暮らし,地域おこしに頑張る姿,そして東日本大震災,原発事故,避難,移動…と描かれていきます。
○(うれしい! 私が住んでいる飯舘村って,こんなに美しい土地だったんだ!) とみ子さんが,飯舘村にしっかりと根を下ろした瞬間でした。 ○(もう一年がんばれば,イータテベイクが世に出せるんだ! かぼちゃのいいたて雪っ娘も,もうすぐ品種登録になるはず。いよいよこれからだ!) とみ子さんの胸が希望でふくらんでいいた時…。 東日本大震災が発生したのです。 ○とみ子さんは,自分が書いた詩を何度も読み返しました。 (これは,私の覚悟なんだ。この詩がある限り,私は決してあきらめないんだ) 一文字一文字たどって読むたびに,涙が流れました。同時に,とみ子さんの体には,強い力がわきあがってくるのでした。「たいへん」「苦しい」でしょうが,そうした言葉を口にしない“かーちゃん”たちの行動に元気をもらえます。 そして,「今自分にできること」を考えたくなります。 「あの日」を思いながら,「今」そして「あす」を考えるきっかけとなる一冊です。
目次 プロローグ 1 なんでも自分で 2 飯舘村のよめっこ 3 までいな村 4 馬鈴しょ植物防疫補助員って何? 5 故郷を追われて 6 あきらめないことにしたの 7 結の力をとりもどせ 8 かーちゃんの力・プロジェクト 9 伝える,つなぐ エピローグ おわりに【関連】 ◇NPO法人かーちゃんの力・プロジェクトふくしま ◇かーちゃんの力・プロジェクトふくしま(Facebook) ◇飯舘村 ◇特集 3.11大震災(河北新報オンラインニュース) ◇Peace On Earth 【おまけ】 同じこの空の下 共に向かって行こう 「明日へ」