『五つ星をつけてよ』(奥田亜希子・著)
天気のよい日になるかと思っていましたが,出先では路面に水たまりができるほどの雨が降りました。幸い,自分が移動するときに雨は降りませんでした。
朝,新幹線の車内は,ビジネススーツを着た方が多いのですが,今日は,若者のグループが目立ちました。
座席を向い合せにして,楽しそうに話をしている人たちもいました。
大学生が休みを使って旅行にでかけるようです。いいですねえ。
ネットで情報を集め,SNSでコミュニケーションをする,それが「日常」となっています。
そうしたネットの“あれこれ”を題材にした,6つの短編が収められた『五つ星をつけてよ』(新潮社・刊)です。
主人公は,いずれも女性です。出版社の紹介には,
ディスプレイに輝く口コミの星に「いいね!」の親指。その光をたよりに、私は服や家電を、そして人を選ぶ。だけど誰かの意見で何でも決めてしまって、本当に大丈夫なんだろうか……? ブログ、SNS、写真共有サイト。手のひらサイズのインターネットで知らず知らずに伸び縮みする、心と心の距離に翻弄される人々を活写した連作集。とありました。 タイトルとなっている「五つ星をつけてよ」の主人公 恵美は,子供の頃から母親を“大きな光”と感じ,その言葉に従ってきました。 その母親が,今は,認知症気味となり,ホームヘルパーの助けを受けています。
「違うよ。お父さんは先週帰ってきたじゃない。だから,次は来週」 恵美の言葉に,あらそう,と寧子が安心と不満の入り交じった息を吐く。四年前に亡くなった充宏が単身赴任をしていたのは,恵美が高校生のころのことだ。寧子の意識は一気に四半世紀も遡ったことになる。恵美は,除湿機を買うとき,メーカーサイトで選んだ機種のレビューを探り,同じ使い方をしているの人がいて,星五つのものを選びました。料理を作るとき,インターネット上で評判のいいレシピを参考にし,ものを買うときには必ず事前に口コミを調べました。 仕事で出入りしているパン屋さんが…。 気になっていた介護業者が…。ホームヘルパーが…。 「恵美はパソコンをシャットダウンした。胸に温かいものが広がっていた。」それは…。 気になった作品からどうぞ。
目次 キャンディ・イン・ポケット ジャムの果て 空に根ざして 五つ星をつけてよ ウォーター・アンダー・ザ・ブリッジ 君に落ちる彗星