「小寒」。『生命のことば』( 毎日新聞社・高野山真言宗 総本山金剛峯寺・編集)
今日は,二十四節気の一つ「小寒」です。今日が「寒の入り」で,節分までの30日間を「寒の内」です。寒風と降雪の時節となり,寒さが厳しくなる頃です。
今朝は多少寒かったですが,まだ“暖かく”て,年を越した桜の花が見られたりして,このまま春に向かっていくのではと思えてきました。
とはいえ,これから“冬本番”となります。今日も強風が吹き,夕方からは一段と強くなりました。冬の近づきを感じました。
寒さへの備えとともに,楽しむ工夫を。
「人間とは何か。生きるとはどういうことなのか。」
高野山で命の尊さについて語られた講義をまとめた『生命のことば』(毎日新聞出版・刊)を読みました。
空海開創の地 高野山(和歌山県高野町)で,各界の第一人者が講演する「高野山夏季大学」が1921年(大正10年)に始まり,今年は第92回となるそうです。
「命とは何か。生きるとはどういうことなのか。」との根源的な問いについて,それぞれの講師の視点から学びます。
最初に登場するのは中村桂子氏でした。中村氏について,“生命科学の研究者”,“JTの研究所長”という記憶(印象?)でしたが,肩書は「生命誌研究者」でした。
“生命科学”でなく“生命誌”の研究から語っていました。
このように地球全体を対象にする考え方はこれまで,あまり持たれませんでした。 今は皆が地球を意識します。きっかけは二つあると思います。一つは(略) 私が科学から「誌」に変えた理由は,「科」はまさに分かれているからです。 生命誌は生きものの歴史物語です。今のような私とキノコはどうやってできてきたのか? どうやってキノコはキノコになり,人間は人間になったのか。どういうところが同じで,どこが違うのという物語を,DNAの分析から書くのが私の夢です。二人目は養老孟司氏で,「うふっ」や「へぇ〜」がありました。
(病院に行って)長い間いっしょにいると,考え方がほとんど同じになるのか,よくわかるもので,そこで初めて顔を合わせたんだけど,二人で異口同音に「あー疲れた。丈夫じゃなきゃ医者には来れないね」。これで終わり。 たぶん,外来に行くと若い先生は皆さん方の顔はご覧にならないで,最後までパソコンの画面見ているんじゃないかなと思います。はこれがつまり情報化社会です。つまり人間ではなくて,みなさんの方が情報になっているのです。 私だって生後五十日のときのお宮参りの写真を持っています8.それが白髪じじいの私とどこが同じだって,いくら私が図々しくても,これが本人だって言えません。「じゃあこの子,どこへ行った」と聞かれれば「死んでいません」といくのが,むしろまともな話。 いくら一生懸命考えて,予定通りに表を作っても,そこの中に「おれがいつ死ぬ」と入れられないのが人間なんです。あなたも,「人間とは何か。生きるとはどういうことなのか。」の問いと向かい合ってみませんか。
もくじ 一世紀のご縁が紡ぎ出すもの(中西啓寶・高野山真言宗管長 総本山金剛峯寺座主) ? 自然の叡智 〔中村桂子〕三十八億年のいのち 〔椎名誠〕辺境の食卓 〔養老孟司〕情報と人間 〔安藤忠雄〕未来を拓く設計図 法話〔添田?昭〕死者のゆくえ ? 心を育む 〔鎌田實〕つまずいても大丈夫 〔海老名香葉子〕戦禍に残されたひとつの命 〔小山明子〕今を生きる 〔山折哲雄〕日本人の宗教観 法話〔廣瀬義仙〕お大師様と甲子園への道 〔小籔実英〕弘法大師に学ぶ前向きな心 時代の道標として(今西拓人・毎日新聞大阪本社 文化事業部長) 著者略歴/歴代講義一覧/高野山とは【関連】 ◇高野山真言宗 総本山金剛峯寺 【おまけ】 MUSEE PLATINUMのCMです。「第1話」で,続いていくようです。 初めて聞く名前「スベスベマンジュウガニ」も,実際にいるカニです。どんな展開になるのかな。