『昭和のことば』(鴨下信一・著)
昨日は暖かい日でしたが,今日は気温の低い朝でした。日中,日差しがありましたが,寒いままでした。
年末は“いつもの冬”になるのかな…。
書店の新書コーナーに目立つように置かれていた『昭和のことば(文藝春秋・刊)に手が伸び,「ことば」が気になって購入しました。
鴨下氏は,テレビ局のプロデューサーだった方で,「ふぞろいの林檎たち」などが有名です。
本書は,文藝春秋に連載されていたものを7章に整理して紹介しています。
一つの言葉について,まず「取り上げたきっかけ」や「言葉の説明」を述べ,続けて,その言葉の「そもそも」や「深まり」で“昭和のことば”を語っています。一本は長くなく,すぐに読み切れます。
また,章にまとめてはありますが,気になる言葉を拾い読みしていっても読み進められます。
「昭和のことば」としてあげているのは,「昭和に使っていたが,今は使わない。別の言葉。」という言葉です。
説明を読むと「なるほど。」と思うのですが,言葉を見たときには「何で?」というものもありました。
「英語」もその一つです。次期学習指導要領で“小学校の教科”になるというのに,「昭和のことば」だというのです。この項は
ただ,野球をはじめ自動車,万年筆と発揮された日本人の造語能力は失せた。と終えていました。 どこに着目しているか想像できますか。 「みんな」の項に,「戦時体制下の日本人全体を指す言葉は他にあって…」とあり,“みんな”が使われていないことが出てきました。なるほどと納得し,時が過ぎ「みんなが〈一つのもの〉だった時代はやがて終わる」のです。 「念のため」「お先に」「気持」… う〜,何か,何かなあ。 「わが町」で
そういえば〈わが○○〉という言い方を本当にしなくなった。単語レベルでの死語廃語を言うより,こうした〈ある言い方〉が無くなるほうが社会の変化をより写しているように思う。と述べている。 ここを読みながら,「学校を開く」「地域との協働」が言われる中で,「おらが学校」との表現をされる方がいることを思い出した。“気になっていた”ことが重なりました。 言葉の善し悪しではなく,「昭和のことば」では伝わらないこと,分からないことが,増えているようです。 昭和生まれ,平成生まれ,それぞれの思いをもって「ことば」を考えられる一冊です。