集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『社員参謀!』(荻阪哲雄・著)

花927。  に出ています。  旅のお話は,また。  タイトルの「参謀」「人と組織」の言葉,そして表紙の“黄色”に目をひかれて『社員参謀! ―人と組織をつくる実践ストーリー』(日本経済新聞出版社・刊)を手にしました。  “小説”のつもりで読み始めましたが,ビジネス書でした。
 複数の実在人物をモデルにした新しい組織開発のリーダーシップ物語  大手グローバル企業の事業部長・姿晋介は、本社役員への就任を目前に、グループのM&A戦略で2社が経営統合した子会社DJ社への出向を命じられる。会社から晋介に与えられたミッションは、DJ社の取締役 組織開発担当。出向先のDJ社で、晋介を待ち構えるのは、宿命のライバルである、社長の檜垣真吾。  「これで会社人生も終わった」――失意のどん底に落ちた晋介は、ある言葉をきっかけにこの出向の解釈を自分で変え始める。この会社を何とかしたい! (略) ストーリーとポイント解説を組み合わせ、新しい組織開発の実践を説く、新たなリーダーシップの実践物語。
 荻阪氏の提唱する「バインディング・アプローチ」について,小説の“具体的場面”で,リーダーの願いと行動,メンバーの葛藤と変化を“解説”していきます。  経営統合した企業での話ですが,教育・学校にも読み替えられる話でした。  教育現場では,ベテランの退職による若手の増加,教師力の向上などが大きな課題であり,その“対応”が行われています。  その際,それを進める「組織・仕組み」は,従来のものでは十分でなく,いろいろな“新しい形”が模索されています。  本書のなかで進む「組織変革への取り組み」は,教育現場でも大いに参考になると思います。  ただし,本書のなかで描かれる「本社,社長,取締役…」を,教育現場で「教育委員会,校長,副校長・教頭…」としてよいのかは,迷います。  教育現場では,学校が「鍋蓋(なべぶた)組織」と言われる形態であり,バインディング・アプローチをリードする“役割”を,誰(どこ)が担うのか,一つの答えが出てきません。  教育現場が抱える課題は,“それを構成する組織”が解決していくしかありません。  “これまでの組織”で解決できなかったことには,「新しい組織」への改革が必要です。  それを分かっていても,その手段をもっていないようです。  その組織改革として,本書で描かれる手法を試してみることは,無駄ではないと思います。  みなさんも,読んで,試してみませんか。  読書メモから。
○「あるのです。それが,バインディング・アプローチです。トップダウンボトムアップバインディング(結束)するアプローチということなのですね」 ○「左側は(略) これは,フォーマルな組織の動きです。(略) 側面を,インフォーマル組織で働きかける動きです。(略)」 ○「(略) 役員皆で行う具体的な実践の最善手は,三つです。  第一に,DJ社の存在意義を定める。  第二に,DJ社の目指す未来の目的地を描く。  第三に,DJ社の資源配分をしやすくする,やらない戦略を決める。  (略) さらに進めるにあたって備えておくべきことを一つ。「組織のくせ者」を経営として意識しておくことです。(略) ○「(略) 働くなかで,一人ひとりの人間の成長を通して業績の向上を実現させ,組織のビジョン達成感を,仲間と共に喜び合う瞬間を見たいのだ。笑顔の瞬間を」 ○一対一の組織開発 七つの働きかけ(ダイアード)技法 ○「三つのステップ」で考える ○「知っているのは,知識の世界。行い続けるのは,智恵の世界。DJ社の新しい組織開発は,職業的智恵を育て,広める世界。(略)」 ○恵美は,川本との呼吸を合わせながら,真剣勝負の対話に入った。 ○バインディング・あぷろーつは,六つの実践サイクルから成り立っている。すなわち(略)
   目次 第1章 姿晋介 出向を命ず!  −こだわった「役職の昇進」から人としての「成長の昇進」へ 第2章 「最大の宿敵」から「最高の戦友」へ  −誰が新しい組織(OD)を構想するのか? 第3章 本城恵美の真剣勝負  −「社員が始める組織開発」から「役員が起こす経営開発」へ 第4章 眠れる獅子が目を覚ます時  −「一人の発案」から「衆知の結集」へ 第5章 その時、三割のくせ者が動いた  −「命令の合理化計画」から「自ら変わる変革ビジョン」へ
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