集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『本屋稼業』(波多野聖・著)

花725。  天気予報は「曇りのち雨で…」と言っていましたが,雲は多いが雨は降らずに済みました。  暑い日ではありませんでした。  午後,中学校の校長先生とお話ししました。  一つは“古い横山光輝氏の本(マンガ)”についてのお願い,もう一つは“最近のこと,これからのこと”の情報交換でした。  よろしくお願いします。  ありがとうございました。  夜,作手小学校設立準備会があります。その話題は,また別の機会に。  先日のビブリオバトルの本と一緒に手にした「本」の本です。  『本屋稼業』(角川春樹事務所・刊)は,田辺茂一氏が“世界一の書店”を築き,育て上げていく物語です。  その書店は紀伊國屋書店です。  東京の薪炭問屋「紀伊國屋」の長男に生まれた田辺茂一氏は,幼い頃に父と入った丸善で,「書店」がもつ崇高で特別な雰囲気に魅せられました。  22歳のとき,夢であった「紀伊國屋書店」を創業します。話題の書店で繁盛しますが,戦争で“灰”となります。  戦後,再び紀伊國屋書店を開きます。そして,松原治氏と出会い,大きく飛躍していきます。  田辺氏,松原氏の生きざま,そして“本屋”を築いていく様子が描かれます。  文化,生き方,その時代…  描かれる田辺氏の姿,松原氏の姿,それぞれに人を引き付ける“魅力”を感じさせます。  出版社のセールスに「本を愛するすべての人に読んでほしい,心躍る書き下ろし長篇小説。」とありましたが,確かにそう思う一冊です。  ちょっと気になった文章から。
・死を覚悟していた以前の茂一ならその問いに同じことを繰り返した筈だ。  「なるようになれだよ」  だが,その言葉が出てこない。 ・松原はずっと野原に寝転がったまま空を眺めていた。  「一月のうちに二度も九死に一生を得た。俺は運が強い。きっと,生きて帰れる」 ・「鬼畜として戦っていた相手がこれほど立派な連中だとはな」  松原は改めて世界を知ると同時に,勝者となった場合の態度を教えられる思いだった。 ・「そうしなよ。ウチは戦前も大卒を採用していたんだ。それも女子大。みんな男に負けない仕事をする。仕事に男女の差はないよ」 ・松原はその茂一の言葉に深く頷いた。  「男は“太陽族”,そして,女は“スキャンティー”,そんな時代が来たんだ…何もかもが爆発的な勢いになっていくはずだ」 ・女性に囲まれた茂一が醸し出す何とも贅沢で洒脱な雰囲気,それが紀伊國屋書店が昔から持つ文化の香りとなり,皆がそれに酔っているようなのだ。 ・「だって,本にはありとあらゆるものが無限に詰まっている。その本を扱うということは,無限の喜びに通じるじゃないか」
 NHK連続テレビ小説「あさが来た」の白岡新次郎の“道楽”のようすや田辺氏の“遊び”のようすは,「旦那衆」と呼ばれた方々の姿なのでしょう。  こうした方々が,日本の文化を支え,創ってきたのだと思います。  これから同じ生き方はできませんが,彼らの“心意気”に負けない過ごし方をしていきたいと思います。
  目次 第一章 二人の戦後 第二章 それぞれの再起 第三章 再開!紀伊國屋書店 第四章 奇妙な二人三脚 第五章 発展への兵士たち 第六章 永遠の本屋稼業
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