集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「いい話の図書館」。 『ひかりの魔女』(山本甲士・著)

花0222。 紹介するのは「いい話の図書館」48冊目の図書ですが、すでに49冊目の『よくがんばりました。』(喜多川泰・著)が届いています。そして、今回が最終の頒布となります。  最終号の『本に恋する店主の呟き[壁]新聞』で、
   本と道連れの人生  「いい話の図書館」は、これが最後の原稿となりました。2018年の暮れに、作家の志賀内泰弘さんから、「小林さんがいいと思う本を全国に向けて紹介する頒布会をしたらどう?」と提案されました。(略)  とにかく「やってみよう!」と、2019年4月から無謀にも企画はスタートしました。小説、エッセイ、ドキュメント、絵本、単行本から新書、文庫など、ジャンルが多岐にわたるように心掛けました。(略)  人は、食べたものと読んだものでできているのです。これから皆さまが本と道連れの人生でありますように、心からの感謝を込めて、本当にありがとうございました。
と述べています。  1冊目は『スタートライン』(2019/05/22)でした。  最終の頒布も喜多川泰氏の本が選ばれ、以前に紹介した『よくがんばりました。』でした。  「いい話の図書館」で、素敵な本と出合わせていただきました。4年間、ありがとうございました。  「いい話の図書館」で48冊目の図書『ひかりの魔女』(双葉文庫)を読みました。  本に恋する小林店長は、「本に恋する店主の呟き新聞」に
 80歳を過ぎた祖母が、ある日わが家にやってきた。浪人生の孫息子の目線で見るおばあちゃんは、関わってきた人たちを幸せにしてきたらしい。幸せに生きるとは、豊かに生きるとは、便利で早ければそれでいいのか、引き込まれて読んでいました。
とメッセージを載せています。  表紙に割烹着(?)姿の“笑顔のお婆さん”が描かれ、この人が“わが家”にやって来た祖母で、人を幸せにする“魔女”のようです。  出版社の図書紹介には、
 浪人生の真崎光一は一日中家にいる。そこへ祖母が同居することになった。  小柄で温厚で普通のおばあちゃん……と思ったらなんだかめちゃめちゃ多くの人に慕われてるし!?  周囲の問題解決してるし! たちまち家庭の状況も好転してるし!! うちのばあちゃん、一体何者!?  ばあちゃんにひっついていた光一だけが目にした奇跡の数々。  これぞ痛快、スーパーおばあちゃん小説!
とありました。  光一がお婆ちゃんと初めて会ったとき、その“魔法”を目にします。
 「あれ、おばあちゃん、さっきは腰が曲がってるみたいに見えたけど」  光一がそう言うと、ばあちゃんはそれまでの笑顔とはやや異なった。にたっとする表情になった。  「荷物を運ぶとき、辛そうにしていると、親切な人が助けてくれるから」  年寄りが生きてゆく上での知恵? 親切にした側も気分がいいし、誰も損はしないわけだけど。
 このときの光一は、年寄りの狡猾な知恵かと思いましたが、その後祖母と一緒に行動するうちに、“優しいウソ”であることを知り、その“魔法の力”に気づきます。 “優しいウソ”であることを知り、その“魔法の力”に気づきます。  85歳のおばあちゃんとの暮らしが始まり、ボケるんじゃないかと心配していた家族でしたが、足腰も丈夫で、自分のことは自分でするなど、元気です。  ただし、外出するときには、光一がお供します。  書道の先生をしていたお婆ちゃんは、元教え子6人に会いに行きます。そこで出会う元教え子達は、それぞれ活躍しています。その誰もが、おばあちゃんを慕い、「自分が一番大切にされた。」と思っていることに、光一は戸惑います。
 おばあちゃんは、何者なのか。  部屋で“変なポーズ”をしてことがあるけど、教祖なのか。
 トラブルを抱え、困難の地にあった真崎家は、おばあちゃんが同居を始めて変わっていきます。  炭火と土鍋でていねいに炊いたご飯、佃煮、漬物、イワシのぬかみそ炊き…。  おばあちゃん手作りのごはんが、“魔法”の力を持っているようです。  こんなおばあちゃんがいたら…。  読書メモより
○ やっぱり、年寄りはカブトムシ並みに朝が早い。 ○ ばあちゃんが「では、いただきます」と両手を合わせたので、光一もそれに倣った。/(略) ばあちゃんが目を閉じて、数秒間、いかにも心を込めて手を合わせている所作は、無形文化財みたいに思えた。 ○ ダイニングに行くと、海苔を巻いた三角のおにぎりが二つ、皿に載っていた。横には小魚の甘露煮とキュウリの漬物が添えてあり、湯飲みと急須も置いてあった。 ○ ばあちゃんが教えてくれた書道は、完成した作品の出来映えよりも、書いているときの姿勢心の持ちようを重視したものだったらしい。 ○ 「用美道というのは、機能性があり、それが美しさを備えており、正しい生き方につながっていなければならない、ということです」と白壁館長は続けた。 ○ ばあちゃんは他人をコントロールするのが上手い、したたかな人間なのだろうと思っていたが、それは半分当たりで半分外れらしいと思った。 ○ 光一はさらに、こんな仮説も立ててみた。 ○ それは、園部さんが子供の頃に、ばあちゃんから何度もやってもらって覚えた、優しいうそでもあった。
【関連】   ◇山本甲士/もの書き生活
?【関連;「いい話の図書館」】   ☆これまでに紹介した「いい話の図書館」の本   ◇『スタートライン』(喜多川泰・著)。「いい話の小さな図書館」。(2019/05/22 集団「Emication」)   ◇『よくがんばりました。』(喜多川泰・著)(2022/12/16 集団「Emication」)   ◇小林由美子Facebook)   ◇志賀内 泰弘Facebook