1-2 四つの生きる力 (教育の再生)
朝出かけるとき、小雨が降りましたが、その後雲が切れ、晴れてきました。
冬の日差しのある一日でした。
平成21年に発行された冊子『教育の再生(要約)』は、愛知県の教育に所縁のある宮田力松氏の図書の要約本です。
宮田氏が指導されていた頃とは状況が変わっていますが、今も変わらぬこと、考えたいことが述べられています。若い先生や教職を目指す若者に、これからの教育を創っていく参考にしていただきたいと思います。
この冊子から紹介します。
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1 教育とは何か
「四つの生きる力」
働く力
生きるために働き、働くために生きる。働くことは、本人の生きることと直接関わることであると同時に、社会や国家発展のため、欠くことのできない底力である。
耐える力
身体的な退屈、いやな事、難儀な事などを我慢する。精神的な苦しみ、辛さにへこたれずもちこたえる。暑さ寒さ風雪など気候条件にもちこたえる。時に、孤独や、いやがらせなどに諦めず、最後まで立ち向かって行く秘めた心を持ち続ける。もう一つは、欲望に耐える力である。
人が生きるために、この耐える力、耐え抜く力は人間として崇高な行ないである。しかし、多くの場合、途中で挫折する人のいかに多いことか、これもまた誰もが知り尽くしていることである。
このような耐える力をどのようにして善うか。まず、それには目標をより明碩に持ち続けることである。
人と交わる力
人と交わるため守るべき基本的なことは、誠実さである。言語にうそ、偽りやごまかしがなく、常に自分の良心にしたがって行動することである。正直は、誠実さの具体的行動である。
誠実さの具体的行動様式
・ 礼儀作法
「礼儀」とは、他人との交渉をもつときに、尽くすべき敬意表現と超えてはならない言語の壁である。
「作法」とは、礼儀の表現であり、時、所、位(相手)により、その作法は違うが、相手に快感を与える作法に徹することである。
・ 挨拶
言葉による白己表現である。
今日学校で、職場で、挨拶が重大な課題になっていることは、多くの人が知り尽くしている。しかし、その励行となると、今一歩の感が深い。それは何故か。「相手を敬う気持ちの欠如」の一語に尽きる。
・ 言葉遣い
言葉は、その人の思想、意志、感情を伝え合うため、伝統的に用いる音声である。
・ 服装、身なり
故里の母親は「屋根には屋根の、お茶にはお茶の着物を着よ」と言っていた。今様にいえば、仕事をするときには仕事着を、公の場へ行くときには正式の服装をせよ、という意味だと思う。
生活を味わう力
直接本業に関わりのない何かを対象にして、時間をかけることである。
囲碁、将棋の有段者に共通していることは、いい時、いい先生、いい友人がいたことで上達した要因があるようである。
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注)これまでの記事は〈タグ「教育の再生」〉で
注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、冊子との関連はありません。