集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『べつに怒ってない』(武田砂鉄・著)

サンドウィッチ1130。 昨夜から強い風が吹き、今日も強風が続きました。  午後になって雲が切れて日差しを感じられるようになりましたが、“冬の天候”の一日でした。  武田氏の切れ味のよい辛口の論評や批評が好きで、ラジオを聞いたり、コラムを読んだりします。  図書館の書架で『べつに怒ってない』(筑摩書房・刊)を見つけて、借りました。  怒っていないと言いながら世相を切っているかと思いましたが、少し(?)違いました。  「日経MJ」連載のエッセイをまとめたものでした。
 いつ読んでも、どこから読んでもなんだか面白い! タイムレスな魅力のあるエッセイ集。 ◎居酒屋のトイレの男女表記が騎士と貴婦人なのはやめてほしい ◎郵便物を待つのが好き ◎クレーマーおじさんと喫茶店で相席になり、メニューを取る手が重なったが恋は生まれそうになっていない ……などなど、見逃せないほどでもないが、気にならないわけではない現象に拘泥し、考えすぎのプロ・武田砂鉄らしいしつこさで考えを深めていく! 不毛な考えが豊かに花開く
 一話が見開き1ページで、まとまりよく、短い時間で読み切れます。章にまとめられていますが、どの話から読んでも、著者の“視野と思考”に引き込まれます。  あなたはタバコを吸いますか。  身近な人や職場の人は吸っていますか。  職場には喫煙所がありますか。
 彼の話を聞いた後、屋外で喫煙所を通りかかると、… (略) タバコを吸った経験は皆無、吸おうと思ったことさえ一度もないのだが、「まだ吸っていますか。吸いますか。そうですよね」と確認し合っているいる時のアイコンタクトには、一定の羨望がある。果物が好き、お菓子が好きでは、「それ、迷惑なんで、あっちでお願いします」とは言われない。
 タバコを吸うことは疎まれますが、確かに果物やお菓子では言われません。そうした世情のなか、喫煙所で煙をフーフー吐き出している人を見て、著者がアテレコすると…。  喫煙所にいる方々は…。  エッセイを読んで、ハッとしたり、そうだと納得したり、そして「自分だったら…」と著者に話しかけたくなります。  あなたも、著者と一緒に“考えること”を楽しみませんか。  読書メモより
(十五時に電話します)○ 時間感覚というのは人それぞれで、この感覚の差異はありとあらゆるトラブルを巻き起こしてきた。 (たいいく!)○ 正確には「たいいく」なのに、発音的には「たいく」である理由を、実はいまだに知らない。 (ジャンプしなくなった)○ 最後に思いっきりジャンプをしたのはいつだろう。しばらく考え込んでみたが、その候補すら思い出せない。 (蛾を助ける)○ 私たちはおおむね、蝶には優しく、蛾には厳しい。誰から教わったわけではないが、そういう方針で暮らしてきた。
   目次 はじめに 1 どうしたらいいんだろう 2 そもそもそれって 3 思い出すだけでも 4 考えすぎじゃない 5 何かをしない あとがき
【関連】   ◇武田砂鉄 (@takedasatetsu)Twitter