3-4 生徒指導(1) (新しく先生となるみなさんへ)
天気の良い日が続いています。
暖かい一日のなかに、秋の深まりを感じます。朝夕の冷え込みで、葉が色づいていくでしょう。
平成の頃、新任教員に「学校のこと」「教職のこと」を紹介する冊子『新しく先生となるみなさんへ』が配付されていました。
当時とは教育を取り巻く状況が変わっていますが、若い先生や教職を目指す若者に参考となる部分もあると思います。その冊子(平成19年度)から紹介します。
********
教員の知っておくべきこと
4 生徒指導(1)
生徒指導は,すべての子供を対象に学校教育のあらゆる場で行われる。しかも,それは一人一人の子供の人格を尊重し個性の伸長を図りながら社会的資質や能力を高めようとするものである。すなわち,集団生活の中で自己実現を可能にさせ,望ましい人格を形成させることである。
生徒指導の意義は,当面する子供の非行・問題行動等の対策といった一側面のみにあるのではなく,すべての子供の学校生活が,子供の一人一人にとって有意義で興昧深く,しかも充実したものになることを目指すところにある。このような目標が具現化されれば,それが非行防止としての役割も果たすことになる。
(1) 生徒指導の領域とその内容
ア 学業指導──学業の向上に資する各種の指導
イ 進路指導──進路の選択,決定に関する指導
ウ 社会性,道徳性の指導──健全な社会人を育成する指導
エ 性に関する指導──性整理,性道徳の指導
オ 問題行動の指導──反社会的,非社会的行動に対する指導
カ 健康指導──健康管理についての意義と実践の指導
キ 安全指導
ク レクリエーション
ケ その他の校内指導
コ 校外活動──遊び,交友,読書.運動.通学班等の指導
(2) 生徒指導の在り方
子供の指導に当たっては,次のような方法と配慮のもとに行う。
ア 自己指導を助成するための方法
・自発性,自律性,自主性の促進を図る。
・目標の確立とその明確化を図る。
・自己理解と自己受容の態度を育成する。
イ 集団指導の方法
・集団の相互理解,相互尊敬,相互扶助等の作用を高める。
・集団の規則を道守する態度を育成する。
・人間尊重,友愛の精神を基調とする個人の自由を尊重する。
ウ 指導・援助の仕方
・問題を解決する能力を発達させるよう援助する。
・一人一人の行動に対して,賞賛,社会的満足感を与える。
・治療的援助や開発的援助を行う。
・客観的資料を適切に利用する。
・指導・援助の基盤となる敦員と子供の人間関係を培う。
エ 組織・運営の考え方
・全職員参加による協力組織をつくる。
・全職員の参加と共通理解及び協力のもとに行う。
(3) いじめ・不登校・問題行動について
不登校や暴力行為,いじめの件数は依然として高い数値を示し,大きな社会問題となっている。教員は,この事態を厳しく見つめ,こうしたことは,いつでも,どこでも,どの子にも起こり得るという問題意識をもって取り組む必要がある。
次に取り組む六つの視点を示す。
ア 全教職員による指導体制の確立
イ 学級における人間関係と信頼関係の確立
ウ 子供の悩みを受容する教育相談体制の充実
エ 「いじめ・不登校対策委員会」等の校内組織の機能の充実
オ 家庭や地域社会,関係機関との連携の強化
カ 心の教育の充実
(つづく)
********
注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、冊子との関連はありません。
【関連】