集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『サキの忘れ物』(津村記久子・著)

花0919。 朝,晴れ間がありましたが,小雨の降る曇りの日でした。  今日,地区の用事で“うっかり”をしてしまいました。この頃,そうしたことが増えている気がします。  緊張感が足らないのか…。老いなのか…。
(知人曰く) 「あ,い,う,ベ」と口の運動と3つの首(首,手首,足首)を動かし,出来ればカカト落としで,背骨に刺激を与えることをしないといけないらしい。
 気をつけよう!  初めて津村記久子氏の作品を読みました。紹介に“傑作短編集”とあった『サキの忘れ物』(新潮社・刊)です。  短編の初出は,文芸誌から美術雑誌まで,時期や内容もさまざまな9作です。  最初の短編は,題名の「サキの忘れ物」で,
 その女の人は,母親よりは年寄りで,祖母よりは若く見えた。
と始まり,喫茶店でバイトをする千春の出会いと成長の話でした。  ある日,千春は喫茶店で客が忘れていった一冊の本を手にします。そして10年後…。  そして,次の「王国」は,
 口を開けて光を見つめていると,ラッパムシのデリラが現れることにソノミが気付いたのは,幼稚園のお昼寝の時間に少しも眠れないで(略)
と始まり,「あれっ。この話は…」と戸惑いながら読み始めました。  短編集で続けて読むのも,一気に読むこともできそうですが,9冊の本を読むつもりで,「」をあけて,気持ちをリセットして読むのがよさそうだと気づきました。  でも,待ち時間に読む本としたので,それができませんでした。  次の「ペチュニアフォールを知る二十の名所」は,観光案内でした。
 ペチュニアフォールの町のランドマークと言えば,時計台ですね。シオドア・ドット市長の就任とともに三年を費やして建造された(略)
 “ペチュニアフォール”は,架空の街だと思い読みましたが,実際にある街のような気がしました。旅行ガイドが,この街を巧みな語りでていねいに案内していきます。ペチュニアフォールが描けました。  次の「茶店の周波数」は,閉店前の店内で…。
 隣の席の人の会話はラジオみたいだ,と思う。私が十代の頃,トークを主にした深夜ラジオをやたら聴いていたことに(略)
 そして,「Sさんの再訪」は…。
 Sさん,Sさん,Sさん,そしてSさんその2。私は,誰が誰かを懸命に思い出そうとしてみたが,どうにも無理だった。そして(略)
 「行列」は,○○見に長い列に並び,そこで…。  ……  どの話も,著者の語りに引き込まれます。  どの話からも楽しめます。  お薦めです。いかがですか。
   目次 サキの忘れ物 王国 ペチュニアフォールを知る二十の名所 喫茶店の周波数 Sさんの再訪 行列 河川敷のガゼル 真夜中をさまようゲームブック 隣のビル
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