『ジソウのお仕事』(青山さくら・川松亮・著)
「今日もよい天候で…」でしたが,昼頃に“激しい雨”が降ってきました。
不安定な天候が続いています。しばらくは雨への備えをしてでかけないと不味そうです。
図書館の新刊書のコーナーに,笹竹を持つ子供がこちらを見つめ,題名の「ジソウ」が色を変えてある『ジソウのお仕事 50の物語(ショートストーリー)で考える子ども虐待と児童相談所』(フェミックス・刊)がありました。
すぐには「ジソウ=児童相談所」であることに気づきませんでした。
副題を見て,「子どもの虐待」がテーマであり,「児童相談所」が舞台だろうと思い,読み始めました。
著者の青山氏が隔月刊誌『くらしと教育をつなぐwe』に連載している「ジソウのお仕事」から50の話をまとめたものです。
子供の悲しいニュースで「児童相談所」の存在を聞きますが,その実際は詳しくはしりません。
子ども虐待について考えてほしい。 子どもたちとその家族の姿を知ってほしい。 そして、ジソウ(児童相談所)とそこで働く人たちの思いや葛藤を伝えたい。青山氏が描く「知らざる児童相談所の日々」,「児童相談所職員の日々の泣き笑い,戸惑いややるせなさ」が,読み手に伝わってきます。 児童福祉司の体験から綴られた50の物語(ショートストーリー)は,雑誌の掲載順に整理されており,その“時代”を思いながら読むと,著者とは違う背景が見えてくるような気がします。 児童相談所で働く人たちの「日常」から,子供達の今と未来(あす)を考えてみませんか。 読書メモより
○ 相談件数は年々増えるし,児童虐待への対応などしんどい仕事も多いせいか,児童福祉に熱意のあった人々も,出勤できなくなって児相を去っていくことも少なくない。私も年間100件以上の対応ケースを抱えて,精いっぱいの日々。いつまで続けられるかなあ…と,時々弱気になる。 ○ 母親とMちゃんが暮らしていた公営住宅の有様を思い浮かべて,においというのは意外と記憶に残るんだなぁ…と考えていた。 ○ 「サンデー,見たんですけど」って,小学生が児相に電話くれたら,いいなと思う。 ○ 児相や児童福祉司が,子どもたちのとってもっと身近な存在であったら…「児童相談所」という名前の通り,子どもが相談できる機関になりたい。 ○ やはり保護すべきだったと思う。親は保護には抵抗するだろうが,この親たちもひょっとしたら,誰かに虐待を止めてほしかったのではないだろうか。 ○ 「(略)それが,また自由奔放な生活に戻ったら,あの子はきっと…。誰も私を助けてくれなかったと,周りのせいにして,恨んで生きていくんじゃないかと心配です」。 ○ 市の担当者は「母のネグレクトでしょ。児相でなんとかしてください」と家庭に戻すことに反対。小学校も「登校せず,母親が治療機関に通わせないような子は,受け入れられない」と校長が電話をかけてきた。 「みんな勝手すぎます。Aくんは,静かな部屋で(略)」。
目次 はじめに 川松亮 1 ジソウはこわい?! 解説1 児童相談所ってどんなところ? 2 鬼は誰? 解説2 子ども虐待対応の現状はどうなっているの? 3 心に届く言葉は見つかるのか 解説3 子ども虐待への支援はどうすればよいのでしょうか? 4 子どものしあわせって 解説4 子ども虐待はどうしたらなくなるのか? 5 行き場を探して まとめ 児童相談所はこれからどうなっていくのでしょうか? 川松 亮 おわりに 青山さくら【関連】 ◇Femix[フェミックス]くらしと教育をつなぐwe ◇児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について(厚生労働省)