集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

『わかりやすさの罪』(武田砂鉄・著)

サクラ1127。 天気の良い日でした。  久しぶりに通った道路沿いに,何か所か桜の木があり,春を彩ります。いろいろな場所で,その桜の木に“”が咲いていました。  その花は,ピンク色が濃く,近寄って見ると,花弁は縮こまったようでしたが,満開になって,木いっぱいに咲いていました。  なかには,花が散って(?),若葉(?)が出ているような木もありました。  この時期に花を咲かせて,来春は大丈夫なのでしょうか。  季節外れの出来事は,心配です。  題名の「わかりやすさ」,そして続く赤い文字「」に誘われて『わかりやすさの罪』(朝日新聞出版・刊)を読みました。  以前(2015年)に『紋切型社会を読んで,著者の“切り口”に納得し,共感しました。  本書で
 この本を通じて書いてきたことは,万事は複雑であるのだし,自分の頭の中にも複雑な作りをしているのだから,その複雑な状態を早々に手放すように促し,わかりやすく考えてみようと強制してくる動きに搦め捕られないようにしよう,であった。私たちは複雑な状態に耐えなければならないし,考えなんて,考えないとでてこない。そうすることによって「わかりやすさ」から逃れることができるはずなのだ。
と述べています。  物事は「万事は複雑」であるのですが,それを〇か×か,白か黒かの選択を「強制してくる動き」があります。その選択が「分かった」と“納得”になることに“安心”しているようです。  読み進むなかで,そのことが問い返されきます。
 “わかりやすさ”の妄信、あるいは猛進が、私たちの社会にどのような影響を及ぼしているのだろうか。「すぐにわかる!」に頼り続けるメディア、ノウハウを一瞬で伝えたがるビジネス書、「4回泣ける映画」で4回泣く人たち……。「どっち?」との問いに「どっちでもねーよ!」と答えたくなる機会があまりにも多い日々。  私たちはいつだって、どっちでもないはず。納得と共感に溺れる社会で、与えられた選択肢を疑うための一冊。
 『一冊の本』の連載を加筆・修正したものです。順に読まなくとも,気になる項目を読んで愉しめます。  現在の“先行き不透明”な状況で,簡単に“わかりやすさ”を求められたり,説明されたりすることに,立ち止まり,考えることができる一冊でした。  みなさんも,いかがですか。  読書メモから。
○ コメントのタイトルは「アメトークに騙されました。」で(略) ○ 「日本の算数の授業では2+3=〇と教えるが,イギリスなどでは〇+〇=5と教える」といった内容の(略)  本来,自由とは「〇+〇=〇」のことである。(略)  このところの政治の動きを数式化すれば,「5−1+3−4+2−1+6−8+3=5」みたいな感じだろうか。つまり,(略) ○ 今,「見せかけの優位」を作るのは単純化であり共感化。何が言いたいのかよくわからなかったという状態を噛みしめながら複合的な視点を残せば,その見せかけの優位から逃れられる。
   目次 はじめに 1 「どっちですか?」の危うさ 2 「言葉にできない」 3 要約という行為 4 「2+3=○」「○+○=5」 5 勝手に理解しないで 6 理解が混雑する 7 「一気にわかる! 」必要性 8 人心を1分で話すな 9 なぜそこで笑ったのか 10 なぜ笑うのか、なぜ笑えないのか 11 全てを人に届ける 12 説明不足 13 「コード」にすがる 14 ノイズを増やす 15 4回泣けます 16 コーヒーを吹くかもしれない 17 深いって何だろう 18 見せかけの優位 19 偶然は自分のもの 20 わざと雑にする 21 そんなこと言ってないのに 22 自分に迷わない人たち 23 みんなで考えすぎ 24 人はいつもぐちゃぐちゃ おわりに コロナ禍の「わかりやすさ」の中で
【関連】   ◇武田砂鉄 (@takedasatetsu)Twitter