『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(椰月美智子・著/早川世詩男・絵)
気温は低めでしたが,青空が綺麗な晴れの一日でした。
新型コロナウイルスの感染が広がるなか,有効な治療法が確定せず,“見えない怖さ”に不安になる方が多いようです。
文部科学省が,感染者がいない学校も含め“積極的な臨時休業”を検討することなどを求めたこともあり,各地で休校措置が始まっています。
安全・安心の確保が重要なのは当然ですが,感染者がいない段階での判断は難しいことと思います。
関係のみなさん,勇気をもった決断を!
有効な治療法が確立し,薬剤やワクチンの早い完成が待たれます。
医療関係のみなさん,日々激務かと思いますが,よろしくお願いします。
図書館の児童書コーナーで見つけた『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』(小峰書店・刊)です。
表紙は,スケボーを手にしたお爺さんが,夏の白い雲の前で,ちょっと見上げながら立っています。
小学校6年生のおれ(拓人)と忍と宇太佳が,花林神社の管理人 田中(喜市)さんに出会い,話を聞き,話をし,動き出すようすが描かれています。
オチのないつまらない話を,相づちを打ちながら,いつまでも聞いてくれた。 親に話をすると,必ず,ああしたらいい,こうしたらいいと,すぐに余計なお世話的な結論を言い出すけど,田中さんはただじっと耳を傾けてくれて,なにも言わずにうなずいてくれる。おれには,それがとてもありがたかった。がんばれ,とか,やり直せる,とかそういう,口先だけのことも言わなかった。子供向けの図書ですが,田中さんの言葉には難しいものもあります。 3人が変える時,田中さんは「逢魔が時は魔物が出やすいからね」と声をかけました。 この「逢魔が時」の分からない彼らは「おうまがどき? なんですか,それ」と尋ねます。 田中さんが答えます。
「○○時のことだよ。△△は妖怪が出やすいんだよ」 おれはギョッとし田中さんの顔を見た。こええ,と宇太佳が言い,忍はふっ,と鼻で笑った。こうした会話から,彼らと一緒に,昔のこと,言葉が,読み手に伝わってきます。 学級の男子のなかに,優等生チーム,やんちゃチーム,幼稚チームがあり,彼らはしらけチームなのだそうです。 そのしらけチームの3名が,田中さんと出会い,話をしてきたことで,動き始めます。 学級で話をし,校長先生にお願いし,○○をし…。それは…。 あなたも田中さんの話を聞いてみません。 ひょっとすると,あなたの近くの“田中さん”と出会い,話ができるかもしれませんよ。 【関連】 ◇椰月美智子 (@Yazuki_Michiko)(Twitter) ◇早川世詩男 | GALLERY HOUSE MAYA