『京都祇園もも吉庵のあまから帖』(志賀内泰弘・著)
青空の綺麗な日になりました。
出かける時,久しぶりに通る道路で「あれっ?」と感じることがありました。広場にある木の葉が赤くなっていました。
美しい紅葉が見られました。
一面が“赤く染まる”のも間もなくでしょう。
先日,志賀内泰弘氏から新刊を送っていただきました。封筒(?)の表に次のような言葉がありました。
ショッキングなニュースが飛び込んで来ました。7月8日,祗園で火災が発生。有名な舞踊曲『祗園小唄』ゆかりの老舗お茶屋「吉うた」が全焼したというのです。 実は,拙著新刊『京都祇園もも吉庵のあまから帖』を執筆取材のため,1年半も通い詰めたお茶屋なのです。さらに,その女将さんは主人公「もも吉」のモデルなのです。 文化財とも言うべき建物・着物・思い出深い写真まですべてを失くされた女将さんをお見舞いに訪ねました。すると!…79歳にもかかわらず,気丈にも既に再建に向けて歩み始めておられました。まるで,小説の主人公のように。月刊『PHP』で連載している小説が書籍化された『京都祇園もも吉庵のあまから帖』(PHP文芸文庫)です。 同封の「号外 徒然草子」やプリントに,この小説への思いや願いが記されており,プレス記事には,
『京都祇園もも吉庵のあまから帖』は,月刊『PHP』で連載中の同タイトル小説の書籍化。 2018年10月号から2019年2月号までに掲載した作品を,大幅に加筆した5編を収録しました。連載にあたり,著者の志賀内泰弘氏は「花街のしきたりはたくさんあり,安易にペンを執るのは恐れ多い」という思いから,小説の舞台である祇園を1年以上にわたって取材。このとき協力を惜しまなかったのが「吉うた」の女将です。「吉うた」は作家・長田幹彦の常宿で,「月はおぼろに東山」の出だしで有名な『祇園小唄』も滞在中に作詞したと言われる老舗のお茶屋。取材を重ねるうちに,女将の人柄そのものに魅かれた著者は,女将をモデルに主人公・もも吉を生み出しました。もちろん,ご本人公認です。と紹介されていた本です。 舞台は,祇園の“一見さんお断り”の甘味処「もも吉庵」です。 その女将が,代々続いたお茶屋を畳んで甘味処を開いた もも吉 です。題名にもなっており主人公ですが,読み終わると,本書の主人公は“わたし・あなた”のように思います。 第一話に登場するタクシードライバー 美都子 は,もも吉の娘です。彼女の姿が,次のように表されています。
広い襟のついたシルバーグレーのベストに紺のスーツ。上着の両袖とスラックスお脇には,縦に二本,山吹色のストライプが走っている。首筋には,有名なミラノブランドのスカーフが,ネクタイのようにキュッと巻かれている。そして,前髪をクルッと小さくカールさせたショートボブに,天使の輪が光っている。どのような女性が思い浮かびましたか。 彼女が妹のように思っている舞妓修業中の15歳の奈々江との関わり方に,もも吉が語ります。
一つ溜息をついたかと思うと,裾の乱れを整えて座り直す。普段から姿勢がいいのに,いっそう背筋がスーッと伸びた。帯から扇を抜いたかと思うと,小膝をポンッと打った。ほんの小さな動作だったが,まるで歌舞伎役者が見得を切るように見えた。美都子に語ったのは…。 第二話では,朱音に…。 第三話では,丈雄に…。 第四話では…。 第五話では…。 もも吉,美都子,そして隠源(満福院住職)と,祇園の街で出会う人々の暮らしに触れてみませんか。 そこから,あなたへの“ことば”が聴こえてきます。
もくじ 第一話 桜舞う 都をどりのせつなくて 第二話 悩み秘め 恵美須神社に願いごと 第三話 寺社めぐり 小春日和の栗ぜんざい 第四話 節分会 粋なお兄さんに恋をして 第五話 葛汁粉 春遠からじ吉田山 エピローグ 春ふたたび本書を受け取って間もなく,今月の「いい話の図書館」の本が届きました。そこに本書が同封されており,手元に2冊になりました。 1冊は,「いい話の図書館」の本と同じように,つくで交流館の図書室に置いてもらおうと思います。もう1冊は,誰に…。 【参考;「いい話の図書館」 これまでに紹介した本】 ◇『雪とパイナップル』(鎌田實・著)(2019/10/06) ◇『負けるな、届け!』(こかじさら・著)(2019/08/31) ◇『気象予報士のテラさんと、ぶち猫のテル』(志賀内泰弘・著)(2019/08/18) ◇『本のエンドロール』(安藤祐介・著)(2019/08/10) ◇『Life(ライフ)』(くすのきしげのり・作/松本春野・絵)(2019/06/30) ◇『勇者たちへの伝言』(増山実・著)(2019/05/29) ◇『スタートライン』(喜多川泰・著)(2019/05/22) ◇『眠る前5分で読める 心がスーッと軽くなるいい話』(志賀内泰弘・著)(2019/04/10) 「いい話の図書館」とは…本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。 そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。 ◇いい話の図書館【申込】 ◇小林書店さん (@cobasho.ai)(Instagram写真と動画) ◇志賀内 泰弘(Facebook)