集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

「空沢山の大蛇」(つくで百話)

桜1002。 しばらく前は,“への対応”がいる天候が続くような天気予報でしがた,小雨がわずかに降っただけで,“晴れ”が続いています。  当地の稲刈りも,予定通りに進んだようです。いつも最後の稲刈りになる田も作業が終わっています。  昨日通った道路沿いで,の花が咲いていました。咲いているのはわずかでしたが,目立ちました。  四季桜にしては時期が早い気がします。最近の天候が,いつもと違うのでしょうか。  『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「怪奇物語」から紹介です。 ********     空沢山の大蛇  昔から大和田の空沢山とそれに連なる彦坊山や鳳来町布里の栃沢山など巨岩怪石の聳えたつ深山には大蛇が棲んでいたといい伝えられていましたが,明治の末年ころ,彦坊山の造林のため十数人の人夫が,山小屋に泊りこんでいたことがありました。  ある日,下刈りをしていると,変ななまぐさい風が流れてきました。しばらくするとザーッという激しい音をたてて太い竹竿のようなものが,上方から下手の方へ落ちて行きました。長さ四メートルはたっぶりあると思われる大きな蛇で した。この大蛇は一瞬の中に,どちらかへ姿をけしてしまいましたが,人夫たちは,気分が悪くなって,下刈作業も切りあげて小屋にかえったときいております。  それから少したった大正時代のことでした。大和田の竹下彦重さんが,空沢のお地蔵様付近の山へ仕事に行きますと,断崖に,腕の太さ位の大蛇が長く一直線にのびて寝ておりました。彦重さんは,びっくり仰天して,仕事をする意欲などすっとんで,早々に家へ帰ったとのことでした。  昭和にはいって,太平洋戦争が始まったころのことでした。布里の某さんが栃沢山の奥まで草刈りに行きますと,雨がさをひろげたくらいの大きさに,ドグロをまいて,寝込んでる大蛇をみつけました。この人も,大蛇の毒気にふれたのか急に気分が悪くなりましたので,家へかへりましたが,暫らく病床につかれたときいております。  日本内地には大蛇はいないといわれていますが,深い山の中には,相当の年数を経た珍しく大きな蛇も,所々に生存しているものと思われます。 ******** 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で