『本のエンドロール』(安藤祐介・著)
暑い日,台風の動きを気にしながら過ごす一日でした。
ノートに次の質問がメモしてありました。
自分とAさん,Bさんの3人で10個のミカンをどうわけますか?どんな“分け方”が思い浮かびましたか。 「3個ずつ分けて,残り1個を3等分にして平等に…。」でしょうか。メモは,違う分け方でした。
『自分2個で,相手(Aさん,Bさん)に4個ずつ分ける。』と。 それは…。 「いい話の図書館 vol.05」で届いた『本のエンドロール』(講談社・刊)です。 本に恋する小林店長は,
私は長い間この業界に関わりながら,実は,「本」がどのようにして出来上がるのか,一工程一工程に携わる人たちの思いや増して「プライド」にまで心を致していなかったことに,はじめて気づきました。「本」の声が,聞こえるようです。と,ブックカバーにメッセージを載せていました。 表紙は,黒いバックに印刷所の作業中らしい写真が載っています。 さて,どんな話なのか…。 第二章「長篠の風」は,あの“長篠”か…。 期待通りでした…。 でも…。 「印刷会社はメーカーです」と言い切る営業マン 浦本学が主人公の“本が出来るまで”の話(場面)が描かれます。
「伝笑鳩?」 「そうだよ。今のあんたの仕事なら,鳩でもできる」 「ちょっと待ってくれ。さすがにそれは言い過ぎじゃないか」といった会話(?)を交わしながら,本づくりに取り組む印刷所の方々が描かれます。
相手の要望を鵜呑みにするな,疑いの目を持て,時には断る勇気も必要。仲井戸の仕事ぶりから学んだことであり,印刷営業として必要な心得だと頭では分かっている。本書に登場する(描かれる)“働く人”や“職人”の生き様に,生きること働くことを考えさせられます。 書店の紹介文が,
彼らは走り続ける。機械は動き続ける。電子化の波が押し寄せ、斜陽産業と言われようとも、この世に本がある限り。印刷会社の営業・浦本は就職説明会で言う。「印刷会社はメーカーです」営業、工場作業員、DTPオペレーター、デザイナー、電子書籍製作チーム。構想三年、印刷会社全面協力のもと、奥付に載らない本造りの裏方たちを描く、安藤祐介会心のお仕事小説。 大反響5刷! あなたたちがいるから本が読める――。 作家が物語を紡ぐ。編集者が編み、印刷営業が伴走する。完成した作品はオペレーターにレイアウトされ、版に刷られ、紙に転写される。製本所が紙の束を綴じ、"本"となって書店に搬入され、ようやく、私たちに届く。廃れゆく業界で、自分に一体何ができるのか。印刷会社の営業・浦本は、本の「可能性」を信じ続けることで苦難を乗り越えていく。奥付に載らない、裏方たちの活躍と葛藤を描く、感動長編。と綴ります。 本を手に取ることが多いかた,ほとんど手に取らない方,それぞれに“本づくり”を知っていただきたい内容です。 読書の楽しみ方が広がる一冊だと思います。 お薦めします。 本書は,つくで交流館で読むことができます。足をお運びください。
目次 プロローグ 第一章 『スロウスタート』 第二章 『長篠の風』 第三章 『ペーパーバック・ライター』 第四章 『サイバー・ドラッグ』 第五章 『本の宝箱』 エピローグ【「いい話の図書館」 これまでに紹介した本】 ◇『Life(ライフ)』(くすのきしげのり・作/松本春野・絵)(2019/06/30) ◇『勇者たちへの伝言』(増山実・著)(2019/05/29) ◇『スタートライン』(喜多川泰・著)(2019/05/22) ◇『眠る前5分で読める 心がスーッと軽くなるいい話』(志賀内泰弘・著)(2019/04/10) 「いい話の図書館」とは…本との出逢いは,人生を変えます。辛い時,悲しい時,一冊の本が「生きる希望」を授けてくれます。 そこで,ステキな本との出会いを提供する「いい話の図書館」を全国津々浦々に作ったら,どんなに素晴らしいだろうと考えて館主を募集しております。「いい話の図書館」の館主のお仕事は,本棚にステキな本を並べて多くの人に自由に読んでいただくこと。そのステキな本は,テレビをはじめ,マスコミでも話題の小林書店のカリスマ店主,小林由美子さんが心を込めて推薦する本です。 ◇いい話の図書館【申込】 ◇小林書店さん (@cobasho.ai)(Instagram写真と動画) ◇志賀内 泰弘(Facebook)