集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

雨。「山の講」(つくで百話)

蛙0607。 予報は「朝は曇りで…。」と伝えていましたが,朝から雨が降り出しました。  次第に“強い雨”になって,午後は“激しい雨”が降りました。  午後,西日本では“大雨”となり,広島県山口県では「警戒レベル4(全員避難)」が発令されたそうです。  先月末に変更された「災害の危険度を5段階に区分して示す警戒レベル」が初めて運用(適用)です。  今日,東海地方,関東甲信地方,北陸地方,東北南部が,梅雨入りしたとみられる気象庁が発表しました。当地では,ほぼ平年と同時期の梅雨入りです。  これからの天候は…。  『つくで百話』(1972・昭和47年 発行)の「昔の行事」から紹介です。 ********     山の講  二月七日と十一月七日の両日は山の講といって,この日は山仕事を一切やめて山の神をおまつりすることにしています。山の神は,正式にいうと大山祇命でありますが,この地方では,女神で,萬物を産み育てる神様というように考えているようです。女房は子供をうみ育てるので,これにあやかって山の神というようになったのだそうです。  昔,大輪村の佐十という男が,山の講の日に「山の講が何だらい。」とへへら笑いをして竜頭山ヘ仕事にでかけました。日が暮れても佐十が帰って来ないので,翌る日,村の衆が総出で,佐十を探しに山へ行きました。すると大分山を登った所の大杉の枝に,八ツ裂きにされ佐十の死体が引っかかっておりました。佐十の死体を,とりおろしていると,下の洞の方から「山の講が何だらい。」とくり返しくり返しきこえてくるので,村の衆はふるえあがってしまったということです。  元締(材木商)は使用人やお顧客さんを招いて盛大に山の講をやりました。山の神には味噌をつけない五平餅と神酒を供えておまつりしました。二月の山の講は,今年一年中,無事に山仕事ができますようにとの願望を,十一月の山の講では,一年間無事息災で働かせて頂いた感謝を棒げたものでした。  山の講の日には,山海の珍味をどっさり用意してあり,酒もたらふく呑まして貰いました。  五平餅は一本の串に二合,三合の飯をかためた大きいものもザラにありました。こった人は味噌の中へ砂糖と共にごまやしょうがを入れたり,蜂の子を摺りつぶしたのをまぜたりして高級品をつくりました。  各家庭では,囲炉裡に炭をドカドカおこして,その周囲に五平餅の串を何十本も立て並べて焼けるのを待ちかねる位に,片方から食べて,和やかな雰囲気の中に山の講をやりました。 ********  この稿の“山の講”は林業です。農業では田植えや稲刈りを終えた頃に“農休み”がります。  それぞれ,昔の人々が“休む”ことを大切にした風習でしょう。  働き方改革が言われるのは,山の講や農休みを失って(忘れて)しまった暮らしのためでしょうか。 注)これまでの記事は〈タグ「つくで百話」〉で
警戒レベル0607。