「通知表はどうかな?」と。《学びの地図》
朝は,昨夜からの雨が降り続いていました。徐々に小降りになり,そして雨が上がり,午後には青空が見られるようになりました。
この時期の雨は,止んだ後に寒くなりますが,当地はむしろ“この時期にしては暖かい感じ”でした。
天候の変化,寒暖の変化に,まだまだ体がついていけていません。
みなさん,体調を崩されませんように。
当地の小学校・中学校が,保護者会を行っていました。学校も“年の瀬”を迎えています。
この時期に向けて,子供達の取り組みを「評価」し,それを「成績」として記録していきます。成績は,所見として文章にしたり,評定として点数で表したり,到達度を基準で示したりします。
その成績から通知表(票)が作成され,児童生徒に渡されます。
先生方は,こうした「評価すること」や「成績を出すこと・残すこと」について,学び・研修し,より「良いもの」にしています。
かつて(昔,むか〜し),若い先生方に「評価/評定の基礎/基本」として伝えた中に,次のようなことがありました。
2.1 評価と評定新学習指導要領が実施され,具体的なことは変わっているでしょうが,考え方や手法の原則は変わらないと思います。評価:教育によって生じた児童生徒の変化を一定の価値基準に照らして判断することを中心に,その変化の背景となっている諸条件の価値をも判定して,教育と諸条件を改善し,その目標を達成するための営み。
○評価の4プロセス
(1) 評価目標の設定
(2) 評価資料の収集(assessment)
(3) 評価資料の解釈・価値付け(evaluation)
(4) 解釈した結果の活用
○評定
ある状況・状態を設定し,それぞれに点数や記号を予定し,児童生徒が該当する状態になったときに,予定していた点数や記号を付与すること
・評価の(4)がなければ,厳密にいえばそれは「評定」であり,その意味では,日本で行われている「評価」は評定である。真の評価は教師の自主的運用に任されている(そして,その多くは暗黙的である)
・(4)を志向した評価(指導と評価の一本化)を目指そう,というのが現在の方向
2.2 3つの評価:その論理的な精緻化
(?)相対評価
・学習集団内に基準を設けるもの
・典型的には,7%の「5」…とする評定
(?)個人内評価
・個人の成長軸が規準
・典型的にはポートフォリオ評価
・昔はこれを「絶対評価」と言っていたふしがある
(?)絶対評価/目標に準拠した評価:
・専門用語としては,いずれも多少曖昧
・厳密な用語として「クライテリオン準拠評価」があるが,これにもクライテリオン(規準)の解釈で2種類ある
○領域準拠評価(厳密)
評価する範囲を行動目標によって定義し明確化するのが特徴で,細かな領域における厳密な達成度調査になりがち(1989〜1994のUKのNational Curriculum)。カリキュラム中の行動目標を明確に示すことができ,評価基準を細分化しても学習の妨げにならない学習分野に適合(例えば,文字式の計算,二次方程式の解法,等々;観点別評価の「知識・理解」の部分)。
○スタンダード準拠評価(緩やか)
様々なテストの内容や課題にみられる全体の様子やパフォーマンスの傾向をみる評価。細かな行動目標にできないものは,全体の傾向を判断するしかなく,それを評価できるのは教師(の判断)であるという考え方。教師の判断基準を客観的なものにするための工夫は,評価規準について,その特徴とする内容を文章表現した「言語表現」と,この基準に当てはまる生徒の活動辞令を集めて各規準ごとに説明資料として添付する「事例集」(これが,評価規準(スタンダード))。一連のまとまった学習活動を必要とする細分不可能な分野に適合。
3.3.4 留意点他
(略)
4.観点別評価と関連づけた評定の一般的な作成方法
○観点別評価と評定の関係のつけ方
(1) 数学的方法
(2) 言語表現による方法
(3) (1)(2)併用方法
4.1 数学的方法
・簡単明瞭だが,地域的に統一的方法を取らなければ意味がない
・アカウンタビリティを果たしやすい
・加重平均で観点別評価との意味的差異を設ける
(略)
4.2 言語表現による方法
・教師の専門性を尊重するものの,客観性に欠ける場合がある
・評定自身の基準を言葉で示す。ただし,基準を示した言葉だけでなく,これを示した評価事例集も必要
・個人が4つの観点全てに同レベルであることはめったにない。よって,評価基準を参照しながらも,もっともふさわしい評定を教師が判断する(ベストフィット法)
4.3 併用法
・n−1法,n−2法(不得意分野に引きずられる)
(略)
◇評価の技術 1◇
最初は,ペーパーテストについてです。「テスト」というと,一般にこれをいうと思います。ペーパーテストは大別すると「客観テスト法」「論文体テスト法」「記述式テスト法」に分かれます。
(1) 客観テスト法
知識・理解の定着をみるのに,最も適した手法です。このテストは,出題によってさらに次のように分かれます。
○単純再生法……学習内容を理解し,それを再生して答える方法。単純な内容を答え,採点も客観的に行える。
○完成法……あるまとまった考え方や内容を表す文,図式の何か所かを空欄にしておいて,想起再生した用語,数字等を記入する方法。
○訂正法……誤った箇所を含んだ文,数字,図表などを示して,それを正しく訂正させる方法。
○序列法……無秩序に並べられたものを,例えば,大小順,年代順などに正しく並べ替えさせる方法。
○真偽法……一つの概念,命題,定理などを示して,その真偽を判断させる方法。いわゆる○×テスト。
○多肢選択法……一つの問題について4〜5の選択肢を設け,正答を選ばせる方法。
○組み合わせ法……一定の関係をもつ二系列の事項間で互いに関係するものを正しく組み合わせる方法。
○選択完成法……これは,多肢選択法と完成法の併用型。「次の文中の空欄に,それぞれあとに示した語句の中から適するものを選んで,番号で答えよ。」といった問題。
(2)論文体テスト
知識・理解の定着をみるのに,最も適した方法です。思考力,価値判断力,態度や深くて明確な学力をとらえることができる。ただ,採点の客観性,生徒の感情を圧迫しやすいなど配慮すべき点もある。
(略)
評価や成績は,一つの手法・手順でされたり出されたりするのではなく,学習や活動のねらいや内容により,いろいろな手法を取り入れ,より「良いもの」となるようにされています。
間もなく手にする通知表は,そのようにして作成されたものです。
どのような「お子さんの成績」が伝えられるでしょか。
先生,いかがですか。