計算の前に《学びの地図》
朝は雨が降っていましたが,それが小雨,霧雨と変わって,徐々に晴れ間が見られるようになりました。
そして,晴れの暑い日になりました。
これからの暑さは以前ほどにはならないでしょうが,蒸し暑いのは耐え難く困ります。“秋の日”が待たれます。
子供達が「数を知る」こと,「計算する」こと,それを「教える」ことの資料を読んだり,考えたりしました。
まだまとまったものになっていませんが,まず最初の一歩です。
新学習指導要領の改訂作業のなかで,算数・数学科において育成を目指す資質・能力が整理されています。
重要なことが記されているのですが,保護者が読んでも,「だから?」「どうすれば?」と,“??”の連続だろうと思います。
その資質・能力のほとんどは,“算数・数学の見方・考え方”に表れ(?)ています。すると,「その“見方・考え方”は?」と問われるでしょう。
それを紐解いていけば,資質・能力へ辿りつけそうです。
ある算数用語集は「1対1の対応」を最初に置き,用語の説明を続けていました。
1対1の対応 下の図のように,カエルの集まりと浮き草の集まり,また同じようにハチの集まりと花の集まりがあって,それぞれ例えば1匹のカエルに1つの浮き草を対応させることを,1対1に対応させるといいます。 (略) このような1対1の対応がもとになって,数が生まれます。数が導入されると,どんなときでも数に置き換えられ,比較が容易にできるようになります。算数科教育の指導でも,最初に扱いました。 「計数を習得するための5つの原理」と呼ばれるGelmanとGallistelが提唱した考え方があります。
(1) 1対1対応 (2) 安定した順序 (3) 基数性 (4) 順序無関連 (5) 抽象性ここで最初に言われるのが1対1対応です。 辞書(大辞林 第三版)では,
いちたいいちたいおう【一対一対応】 ?数? 集合 M から集合 N への写像 f で、 M の任意の相異なる要素が f によって N の相異なる要素に対応し、 N の任意の要素は M のある要素の像となっているとき、 f を M から N への一対一対応という。全単射と説明しています。 小学1年の教科書の最初は,これを操作(数学的活動)により,具体物を使って「一に対して一が対応する」ことを体験していきます。 それを“繰り返し”てから,「どちらが多いか」の比較をし,続けて「どちらがいくつ多いか」と数を学んでいきます。 でも,その「1対1」が見つからなかったり,線を結べなかったりする子がいます。算数・数学の能力がないのではなく,対象が“見えていない”のです。 その“見えていない”を補う方法の一つに「ビジョントレーニング」があります。
ビジョントレーニングは,視力の問題だけでなく,目と脳の働き,いうなれば「見ることのプロセス全般」をトレーニングすることで「上手に正しくものを見る」ように働きを改善します。 トレーニングにより,「見る力」すなわち「ビジョン」が養われると,今までよりも数段「目の情報収集」が上手になります。 ビジョントレーニングは,アメリカで開発されたプログラムで,空軍パイロットの訓練用で,「眼球を鍛える運動」です。 主に鍛えられるのは,「眼球を動かす力」「焦点を合わせる力」「両目の協調機能の強化」「動体視力」「立体視能力」「奥行を認識する能力」などが挙げられます。学校では,特別支援教育の指導で行われていることが多いようです。 確かにビジョントレーニングによって“能力”が鍛えられます。 しかし,わざわざ○○トレーニングを学ばなくとも,家庭でできることが,いろいろあります。 その一つは,神経衰弱や7並べといったトランプゲームです。 手札から数を探す,場の札を追う…。 ゲームを楽しみながら,「先の6つの“力”をすべて使っています。 最近,トランプゲームをしていますか。 学校でビジョントレーニングが必要になったのは,家庭での“遊び”が変わってきたことと関係が深いように思います。 トランプゲームを楽しみ,遊び倒した子が,自然に“算数・数学の見方・考え方”を身につけ,「資質・能力」を高めていくのです。 お子さんと一緒にトランプゲームをいかがですか。 【おまけ】 次のグラフを書くと…。