集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

古くて新しい「授業の腕をあげる」こと。

花0816。 朝から雨が強くなったり弱くなったりして降っていました。  天気予報が「夕方にかけ"災害級"大雨警戒」と注意を強く呼びかけています。空模様の変化や気象情報に注意して,被害にあわないように気をつけましょう。  いつもブログをお読みいただきありがとうございます。  盆が過ぎ,子供達の夏休みも後半に入りました。図書室に「宿題をします。」「○日に提出で,今日で終わらせます。」と課題に取り組む中学生の姿がありました。  学校の先生方は,研修会に参加したり,書籍を読んだり,仲間と語り合ったりして,“教育研究”や“教師力向上”に勤しんで夏季休業を過ごされていることと思います。  その“宿題”は終わり,“成果”は感じていますか。  実践・実証のときが近づいています。  「○○向上」という話題は,学力調査の結果や制度変更の機会に出てくるような気がします。  今も昔も,重点や内容は違いますが,繰り返されます。  この春,大学生協の書籍売り場で,「えっ。今も売っているの。」と驚いた書籍が並んでいました。
書籍0816。
 それは,『新版 授業の腕を上げる法則』(向山洋一・著/学芸みらい社・刊)でした。  タイトルに「新版」とあり,出版社は違いますが,自分が若い頃に読んだ本(1985年刊)と“同じ”もののようでした。  当時の「教育新書」シリーズが,それぞれ「新版」となって,現在の若い先生に向けて出されています。  この頃,指導法について「教育技術」という表現が生まれ,先人の指導法を「追試する」ことが始まりました。教育の“暗黙知について,言語化し,それを記述していく動きがありました。  それを組織的に取り組んだのが,向山氏を中心としたサークルです。  本書は,そのような暗黙知に関わることを具体的“指導”を「授業の原則十か条」として示し,話題になりました。
  授業の原則十か条 第一条 趣意説明の原則   ・指示の意味を説明せよ。 第二条 一時一事の原則   ・一時に一事を説明せよ。 第三条 簡明の原則   ・指示,発問は短く限定して述べよ。 第四条 全員の原則   ・指示は全員にせよ。 第五条 所時物の原則   ・子供を活動させるためには,場所と時間と物を与えよ。 第六条 細分化の原則   ・指導内容を細分化せよ。 第七条 空白禁止の原則   ・たとえ一人の子供でも空白な時間を作るな, 第八条 確認の原則   ・指導の途中で何度か達成率を確認せよ。 第九条 個別評定の原則   ・誰が良くて誰が悪いのかを評定せよ。 第十条 激励の原則   ・常に励まし続けよ。
本0816。 若い先生に項目だけでは伝わらないかもしれませんが,「初任研で教わった。」「○○先生から指導してもらった。」という事柄が多いと思います。  もしも,「初めて聞いた。」という先生がいたら,一度は読んでみることをお薦めします。“特別なこと”が述べられているのではなく,「これが教育のスタート」のことです。夏休みを終える前に確かめてみてください。  本書を取り上げて,昔の教育雑誌にあった特集を思い出しました。  『現代教育科学』(1987年3月号 明治図書・刊)の特集は『「戦後の名著」を青年教師が読む』でした。  その時から31年過ぎた夏,「戦後の名著」を改めて読み返すのも,これからの教育を考えるヒントが見つかるかもしれません。  特集で,“青年教師”が読み,その感想を寄せた「戦後の名著」は,次のものでした。
高森敏夫 『考える子供たち』 ○東井義雄 『村を育てる学力』 ○斎藤喜博 『学校づくりの記』 ○阿部 進 『現代子ども気質』 ○大西忠治 『核のいる学級』 ○斎藤喜博 『島小の女教師』 ○福地幸造 『落第生教室』 ○武田常夫 『文学の授業』 ○近藤益雄 『おくれた子どもの生活指導』 ○向山洋一 『教師修行十年』
 年代的に,「これらを読んだことがある。」という先生は少なくなっていると思います。  時代も,社会環境も変わっていますが,それぞれの内容から「学ぶこと」「活かせること」は多くあります。  若い先生方,残りの夏休みで読んでみませんか。   【関連】   ◇「授業の腕をあげる法則を読んで(丹羽)」( 2017-08-23 玉置研究室)   ◇「「一時一事の原則」を使えるかどうかが決め手である」(2008年12月29日 (月)  風にふかれて)   フォレスタネット 授業準備のための指導案・実践例共有サイト   ◇福分堂 教職ネットマガジン 先生と、先生を目指す方のためのデジタル教育雑誌