『なぜ世界には戦争があるんだろう。どうして人はあらそうの？』（ミリアム・ウヴォー・ダロンヌ・文）

　「曇りかな…」「晴れるかな…」「やっぱり曇り，いや雨が降るかも…」 　数日前のような“寒さ”があるわけではありませんが，「冬」を感じる空と“空気”の一日でした。 　出先は，土曜日（休日）を楽しむ人で賑わっていました。 　商店やショッピングモールは，クリスマス飾りや音楽で盛り上げていましたが，そのなかに年末と正月（福袋予約）が混じり合っていました。 　“正月”は，まだ早い気もしますが，その前にも人垣が見られました。 　北朝鮮の“核開発”と“実験”は，世の中を危うくさせる動きだと思います。 　けれども，北朝鮮には「国民を守る」といった“大義”をもって行っているのでしょう。この先，それが「戦争」を引き起こすことになったとしても，そこにあるのは“正義”ばかりで，後戻りはしないと思います。 　そこに“大きな不安”を抱くなか，『なぜ世界には戦争があるんだろう。どうして人はあらそうの？』（岩崎書店・刊）が気になり，読みました。 　「10代の哲学さんぽ」シリーズの一冊で，児童・生徒向けて分かりやすく書かれています。 　「なぜ人は戦争をするのか？」の問いを考えていくなかで，

　戦争は自然のなかからは起こらない。戦争は自然なものではなく，社会や文化と強くかかわっている。人は個人ではけっして戦争をしないのだ。

という話が出てきます。 　次ページこ「人間対人間の戦争はない。戦争はつねに国対国だ。　ルソー」の言葉が載せられており，「ジャン＝ジャック・ルソー」の紹介を前ページ下部でしています。 　こうした「言葉」を７つ使って“哲学さんぽ”に誘っています。 　また，ページ下部では，先のような哲学者の紹介とともに，「ジュネーブ条約」「戦争犯罪」などの言葉も説明されています。 　遠い遠いご先祖さまの時代から「戦争」はありました。進歩した文明・文化をもっているのに，なぜ戦争はなくならないのでしょう。 　皆が平和な世界を望んでいます。 　では，なぜ戦争はなくならないのか。 　「戦争」って何なのか。

　かならずなんの罪もない市民がまきこまれ，命を失う。だからこそ，どんな戦争もけっして正しくはないのだ。 　にもかかわらず，もうひとつ，戦争についての大きなぎもんがある。 　どうしても戦争をしなくてはならないという場合があるのではないか？ 　たとえば攻撃をしかけられ，身を守るため，または攻撃を受けている魅力な人々を救うため，さらにはより強大な悪に立ちむかうために，戦争をするしか方法がないという状況が存在するのではないか？

　この問いに，あなたは，どんな答えを持ちますか？ 　あなたも「哲学」してみませんか。

　　　もくじ １　なぜ人は戦争をするのか？ ２　人間が戦争をする理由を見つけるには，どんな問いを投げかけたらいいのだろう？３　戦争と文明，そして戦争と虐待行為について。 ４　戦争にはいろんな種類があるのか？ 　戦争とは絶対に悪なのか？ 　正しい戦争と正しくない戦争というのがあるのだろうか？

【関連】 　「10代の哲学さんぽ」シリーズは，第1期と第2期で10冊が刊行されているようです。 　子供向けですが，大人が「哲学する」内容のようです。

　各巻ごとに自由や戦争といったテーマに焦点をあて，読者にさまざまな疑問を投げかけることによって，自分で考え論じることのできる力を育てます。ルソーやカントといった歴代の哲学者の名言が本文中に引用され，哲学の基礎にふれることもできます。

　　◇天才のら犬、教授といっしょに哲学する。人間ってなに？ (１０代の哲学さんぽ　１) 　　◇自由ってなに？人間はみんな自由って、ほんとう？ (１０代の哲学さんぽ　2) 　　◇なぜ世界には戦争があるんだろう。どうして人はあらそうの？ (10代の哲学さんぽ３) 　　◇動物には心があるの？　人間と動物はどうちがうの？ (10代の哲学さんぽ4) 　　◇怪物ーーわたしたちのべつの顔？ (10代の哲学さんぽ5)

　「したがうか、したがわないか」「死」「いじわる」「働く」「時間」というテーマで、読者に疑問を投げかけ、 自ら考え、論じることを促します。 歴代の哲学者の名言が引用され、哲学の基礎にふれられる、本場フランス発のジュニア向け哲学入門シリーズ。

　　◇10代の哲学さんぽ (6) したがう?したがわない?どうやって判断するの? 　　◇10代の哲学さんぽ (7) 死ってなんだろう。死はすべての終わりなの? 　　◇10代の哲学さんぽ (8) 人がいじわるをする理由はなに? 　　◇10代の哲学さんぽ (9) 働くってどんなこと?人はなぜ仕事をするの? 　　◇10代の哲学さんぽ (10) 時間ってなに?流れるのは時?それともわたしたち?