集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

昭和の『先生のいろは』 15

花0327。 もっと早く天気が回復するかと思っていましたが,晴れたり,雨が降ったりと,“変な天気”でした。  夕方になって,晴れました。  明日は“晴れ”そうですが,まだ“寒い日”が続きそうです。  “桜の季節”は,もう少し先のようです。  今日,地元の小学校,中学校の校長先生と,「昨日(催し)のこと」「今年のこと」「地域のこと」「今後のこと」について,情報交換をしました。  新しい“発見”がありました。  一年間,ありがとございました。  新年度も,よろしくお願いします。  冊子『先生のいろは』の15回目です。年度末に向けて集中して紹介し,残り2回となりました。  1977(昭和52)年頃と現在とは,社会のようすは大きく変わっていますが,「今も変わらず…」という内容もあります。年度末の今,改めて“今の先生方”にお伝えします。何か参考になることがあれば幸いです。
10 あたたかい先生に  (1) 先生の方から,子供のうしろからでもあいさつしてやるような気持ちがほしいね。車の中から手をふる,自転車で追いこしながらのあいさつ。いいね。  (2) よくやったね。しっかりやろうね。いい子だね。……。  頭をなでてやったり,握手してやったり,肩をたたいてやったり,肌にふれる指導はうれしいね。ボタンをつけてやったり,爪を切ってやったり……。  (3) 一口声をかけてあげよう。どこででも,だれにでも。特に名前をよんであげるといいね。よそ様の子供です。「さん,君」をつけてあげよう。  (4) 子供のよい点を親に,親のよいことを子供にほめてあげよう。  (5) 病気欠席の子供に対して,学校を出る(帰宅)前に,一度電話でもしてやりたいね。「お大事にね。」の一言,値千金。家へ寄れば尚結構ですけれど。  (6) 入院とか,数日欠席している病気の子供を訪ねてあげよう。果物やお菓子やお花等持っていってやるより,先生でなくてはできない物を考えたらどう?   ア  子供達の作品 〜 絵や字や人形や……。友達の名の入った千羽鶴など。   イ  子供達の声(テープ) 〜 声の手紙      ただし,重症のうちはやめよう。いくら喜んでくれても安静を妨げないように。毎週,毎月,日をきめて訪れてあげると,楽しみにされていいですね。  (7) 死亡した子供に対して,お通夜や葬儀い参上するのは当然ですが,7日後,1月後等に墓参するなどの気持ちがほしい。要求するのではなく,自分の子供という気持ちからのこと。  1年後の命日に,仏前に線香をあげてやりたい。  (8) 誕生日につくように葉書を出してやります。子供は学校へ行っていますので,両親の方が先に読まれる時もあります。  「誕生日おめでとう。○○年間育ててくださったおとうさんやおかあさんにお礼を言おう。あなたはこういう点がいいね。もう少しこんなことをよくすると,すばらしいぞ。」と,お祝い,ほめ,はげましてやりたいのです。  子供と翌日あうと,にっこりします。お礼をいう子もいます。子供や親から返事がきたりします。うれしいことです。  (9) 子供や子供の親から来た手紙をしまっておきます。スクラップブックへとじておきます。数十年たって,これが宝物の価値を発揮します。クラス会の時など,数十年前の自分の手紙を読みながら泣いている者もいます。  (10) 前項と同じように,一年に一点,何か作品を子供からいただいてしまっておくのも有意義すぎる程いいものです。(9)も(10)も,先生自身の若い頃が思い出され,反省させられたりします。  (11) 感心なことをしている子供を見ると,私はよくミニ表彰状をあげることにしている。名刺の裏を使うのです。「○○したことは感心です。」とか「大変うれしく思いました。」とか書いて年月日を記し,表の名前の所に,なるべく大きな印をきれいに押して,子供の名前に「さん,君」をつけて渡してやります。  大変よろこんでくれるものです。家族に見せ,しまっておく子供もいる。  (12) 卒業証書はいうまでもなく,表彰状,感謝状,認証状などの印判は,ていねいに色こく押してやりたいですね。もらう人は1枚ですからね。  (13) 卒業の時,校長先生の中には,自筆で子供の名前を書くとか,各人に色紙に何か書いて記念に渡すとか,会食してこん談するとか,色々考えおられるようですね。担任の先生としても何か考えられそうですね。  (14) 進学したいのだが,学力もあるのだが,経済的な点で受験できない子があった。先生はまあチョンガーだったので「授業料だけでよかったら私に出させていただきましょう。」と母(夫は病死)と相談して進学してもらった。  数十年後,母から聞いて初めて知った彼は母に言った。「今度は,私がそうしてあげなくてはね。……。」と。  (15) 修学旅行先で1泊目の夜,先生の言。「この町の絵葉書でもいいし,普通の葉書でもよいから,家へお礼の手紙を出しておあげよ。さあ,葉書はここにあるよ。」  手紙より先に本人が帰宅し,その後,本人が学校へ行っている留守に葉書が着く。それでもいいんです。旅先で親を思う一時を作ってやりたいんです。  (16) 指導要録の評価は別として,その他の評価は絶対評価にしてやりたいもの。友達とくらべて何としよう。それぞれの能力に応じて真剣に書いたもの,作った物に,そのつど相対評価で評点をつけるなんて,罪深いことであると私は思う。  努力したこと,進歩したことについて認め,はげましてやりたい。  例  いつも20点台しかとれない子が30点をとった時,ほめてやりたい。点に赤字で「よくできたね。今度は40点とろうえん。」と書いてやりたい。いつも80点位の者が60点とった時,「油断大敵,頑張れよ。」と励ましてやろう。  廊下にはり出す成績表も,よくできた点数順に氏名をかくのでなく,前回よ10以上の点の者を50音順にかいてやりたい。  図工,技家等の作品も,それぞれの作品の中で,よい点を指てきしてほめてやりたい。一般に言う優秀作品だけに評点をつけ,色が変わる程長い間展示しておくなんて冷たいと思えてならない。  (17) とに角,「いい子」になってほしい。いい子である前に丈夫な子であってほしい。欲をいうなら,利口であってほしい。じょうずであってほしい。  人はだれでも,何かで必ず役に立つものである。  通知票の評価(特に教科)で人間の上下ができるものではない。役立つ順序でもない。  (18) 「今度の時間,この3行を読んでもらうから読めるようにしておいで」と直接A君に言っておくと,必ず,何とか読んでくれるものだ。そして,その直後A君は先生に言ってくる。「先生,今度の時間は,どこを読んでくればいい?」ときく。これを学習意識というのです。これは劣等生に対してのこと。  (19) 「今度のテストは,この問題の中から必ず出すよ。」  「今度のテストの問題は,この中から半分以上だしますよ。」  こんなことを言うと,学習意欲がわいてくるね。  とに角,勉強しやすいようにしむけて,勉強してもらえばいいというもの。  厳しい先生と優しい先生は,別な先生ではない。厳しさと優しさは同居しなくてはならないし,表裏でもある。「お願いします」と言って授業が始められ,「ありがとう。」といって授業が終る。いい傾向ですね。問題は,そう言われるのにふさわしい優れた先生にならなくてはね。世の中はきびしいね。
 生活様式や社会の変化により,いろいろな場面で「○○が変わった」と“変化”について語ることがあります。  その一つに“価値観,価値判断”がありますが,先生には気を付けていただきたいと思っています。  それは,「昔は○○だったけど,今は…。」と,安易に“略して”しまわないことです。ご家庭には「昔も今も○○。」を大切にされているところも少なくありません。  “流行”に,安易にのっての対応は,厳に慎みたいと思っています。  みなさんの出会っている先生は,“あたたかい先生”ですか。  次回は,「おわりに」です。 【昭和の『先生のいろは』】  ○昭和の『先生のいろは』 「校門を入って」(2017/02/16)  ○昭和の『先生のいろは』 2 「玄関や子供の昇降口に立って」(2017/02/18)  ○昭和の『先生のいろは』 3 「校長室や職員室を眺めて」(2017/02/21)  ○昭和の『先生のいろは』 4 「廊下や土間廊下を歩いて」(2017/02/23)  ○昭和の『先生のいろは』 5 「便所」  ○昭和の『先生のいろは』 6 「各種の室(教室を除く)」  ○昭和の『先生のいろは』 7 「教室(前半)」  ○昭和の『先生のいろは』 8 「教室(後半)」  ○昭和の『先生のいろは』 9 「授業(1)〜(4)」  ○昭和の『先生のいろは』 10 「授業 (5)書くこと」  ○昭和の『先生のいろは』 11 「授業 (6)仕事をする」  ○昭和の『先生のいろは』 12 「授業 (7)学習形態」  ○昭和の『先生のいろは』 13 「授業 (8)先生よ くり返して述べよう」  ○昭和の『先生のいろは』 14 「??」  ○昭和の『先生のいろは』 15 「あたたかい先生に」  ○『先生のいろは』 おわりに