集団「Emication」別館

楽しく学び,楽しく活動する,笑顔の集団「Emication」。 ふるさとの自然,歴史,風俗などお伝えします。読書や豆知識の発信もしていきます。 活動する人,行動する人,その応援と支援をする集団「Emication」。

今あらためて木下竹次氏から学ぶ。

花1012。  天気のよい一日でした。  今日の食卓に,初物の里芋がありました。いつもより小ぶりなでした。それは,今年の不順な天候のせいかもしれません。  街では,野菜が高騰するだけでなく,品薄で困っているという話を聞きました。  小ぶりであっても,旬を味わえることは幸せなことです。  大地の恵みに感謝していただきました。  古い資料を見ながら“学習指導”について考えました。  初任の頃,学習法について学んだものに,長岡文雄氏の著作があり,サークルで長岡氏を招いて教えていただきました。  “教育”について考える時,その頃に学んだこと,教えていただいたことが“礎”となっていることを感じます。  また,常々言われていたことは,
○ 「ひとりの子を粗末にするとき,教育はその光を失う」親の立場に立って,ひとりの子の為に泣くことのできる教師になろう。 ○ 教育専門職として,師弟同行,日々新たな授業を構築し,自ら燃える教師になろう。 ○ 社会人として,地域社会と共に胸を張って生きよう。
でした。  長岡氏から「合科学習」を学び,それを提唱した木下竹次氏を知りました。  木下氏は大正期の新教育の実践家で,奈良女子高等師範学校附属小学校で研究と実践をされています。そして,雑誌『学習研究』を創刊し,全国的な合科学習運動を展開した方です。  木下氏は,「“学習”とは,学習者である子どもが,生活から出発して,生活によって,生活の向上を図るものである」と,教育者を中心に据えた“教授”から,学習者を中心に据えた「学習」へと,指導法の転換を図りました。  今では,それを聞いて驚きはしないでしょうが,当時としては“コペルニクス的転回”といえるものでした。  木下氏の教育学理論の根幹は,学習の基礎を「自律的学習」と捉え,学習は,「独自学習―相互学習―独自学習」という順序で行われるものとしたところにあります。「学習の原理は“自由”と“協同”にある」と主張しました。  「学習」が備えているべき要件として,「学習を発動的にする。」「学習を創作的にする。」「学習を努力的にする。」「学習を歓喜的にする。」の4つをあげていました。  また,「学習指導方針」として,次のような言葉がありました。
1 学校の学習組織,学習の空気,学習習慣が成立していること。 2 なるべく子供に直接干渉することを避け,子供に自由な活動をさせる。 3 指導計画は立てるが,今日これだけのことを,この方法で教えようとあせらない。 4 入学当初は,文字・計算に習熟させることを第二とし,生活態度,学習態度の樹立に努力する。 5 最初から目的・方法を子どもに教えた活動は避ける。できるだけ自由に活動させる。 6 今日は,必ずこれだけを記憶しなさいとは言わない。教師から負担を課さないように。 7 子供相互に学習を助けていくとき,模倣してもよいが,創作に導いていく。 8 教えるときは,教科書の順序など頓着せず,子供の求むるままに教える。 9 原則として,クラスのすべての子供に,同一の仕事を強いてはいけない。 10 子供の思い思いの発展で,優劣の差ができるが,それでよろしい。 11 子供が自分の生活に不満足を感ずるように指導する。 12 子供の生活(学習)を阻止しない。多少不十分,不具合と思っても意思を遂げさせる。 13 子供が旺盛な学習意欲を起こし,熱心に活動できるよう環境を整理する。子供にも整理させる。 14 子供が生活(学習)に行詰まるときは,環境を変更する必要がある。 15 子供が各種の学習活動を発見するように環境を組織する。広く自然界社会の環境を考えねばならない。 16 環境整理は,一時に完備しないでよいが,単純でないように。教師と子供が協同して不断に環境を進歩させる。 17 子供が各教科の内容に触れていくように工夫し,いかなる生活を為すにも社会的,道徳的,科学的,芸術的,経済的,宗教的に発展するように考慮する。 18 環境を研究して学習要目を作っておく。季節にあわせ,学習に必要な境地を年中に配当して予定する。 19 教科内容だけに着眼しないで,必ず教科外の学習,非形式的教育を考える。 20 他学級,他学年の子供との関係を深め,家庭的学校にする。 21 独自(個別)学習の他に,分団(能力別グループ)学習,相互学習を行い,各自の経験を批評・鑑賞し,独自(個別)学習の発展を助ける。 22 日常生活の発展を図るうちに,教科書以上の学習ができるようにする。教科書は別に多くの時間をとらなくても力はつく。 23 適当な環境のもとで,よろこんで活動すると身体はもちろん発展する。戸外の学習,運動競技を怠らないようにする。 24 子供自ら,社会的な生活の発展を図るものは,誠実と自律と協同が必要と感じられる。 25 子供の学習ノートは必ず全部見る。 26 子供の特性を観察し,応病与薬の指導法をとる。気長に根気よく,原因療法を大切にし,友達の力も利用する。 27 子供の特質を観察し,相談相手,指導者となり,奨励者となる覚悟を要する。 28 教師は自己の短所を自ら改め,変えることを忘れてはならない。子供の偏った学習の原因は教師にある。 29 学級王国の考えを捨て,学級を学校という社会組織単位としなければならない。自分一人で指導できるとうぬぼれるな。 30 大合科学習の期間は,一年でも一か月でも行わないより,行ったほうがよい。小合科でもよい。
 “昔の指導”の話ですが,古い話と感じませんでした。  教育に携わっているみなさん,いかがですか。  先生,現在の状況に“読み替え”て,指導や学習を振り返ってみませんか。