「学級通信」「名著 ガリバー」
教職を終え,「自由人」の3か月は,ゆったりした時間のなかで,たくさんの片付けをしています。
最近,棚の奥に置かれたままの「たぶん読まない」と書かれた箱に辿り着きました。
その中に,『学級通信 ガリバー』(村田栄一・著/初版1973年)がありました。
初任の時,迷って日々を過ごしていると,20代の先輩教師が「通信に書いたら?」と声をかけていただき,5月2日に第一号を発行し,最終は220号でした。
それから学級通信・学年通信を21年間発行し続けました。先日,それを整理してみると3,000号でした。
よく発行したものだと思いますが,それは“子供達と一緒”だったから続いたのだと思います。
若いころ,周囲には学級通信を発行する先生方が多くおり,それを読ませていただきました。また,雑誌などにも特集されていたり,資料が掲載されていたりしました。
そうしたなかで,有名な学級通信の一つが『ガリバー』でした。
『学級通信 ガリバー』(初版)のまえがきは,次のように書かれています。
一年ぼうずのあいだにはいっていくと,なんだかこどもたちが足もとにまとわりつくような気がして,ぼくは「小人の国」へ漂着したガリバーになったような感じです。スウィフトが『ガリバー旅行記』を書くことによって,じつはイギリスの真実を鋭く描きだしたことにならって,そのありかたが根底から批判されている日本教育の「旅行記」が書けないだろうか,とぼくはかんがえました。村田氏が「日本教育の旅行記」というように,丁寧に書かれたガリ版刷りの記事には,子供達の学級の姿を描きながら,そこから“教育論”を述べていました。 身近な先輩の通信,村田氏の通信などに学びながら,それらに“近づきたい”と記事を書いていたことを思い出します。 時代背景がかなり異なってきた現代では,そのまま受け入れられないことも多いですが,若い教員にも学ぶもののある学級通信だと思います。機会があれば一読を。 【今日の小咄】 本に,「落丁・乱丁本はお取り替えします」と書かれていたが,連絡先が書いてあるはずのページが落丁しており,連絡できなかった。 残念。