『未来恐慌』(機本伸司・著)
天気の良い日になり,暖かくなりました。
明日の小学校の入学式には,満開の花が子供達を迎えることでしょう。
「ネット社会」という言葉をあえて使うこともなく,日常的に“ネット”が利用され,生活のなかで欠かせないものとなっていると思います。
それは,以前はコンピュータ,パソコンであったものが,ケータイやタブレットが主流となり,インターネットならテレビやゲーム機で十分です。
そうした日常的なものから,チェスや碁,将棋で「人×コンピュータの勝負」が行われたり,自動車の自動運転も法整備ができれば公道での実用化の段階となっていたり,人工知能の開発も進んでいるようです。
その先(?)の世界を描いた『未来恐慌』(祥伝社・刊)です。
世界規模の「ウェブ万国博覧会」開催が迫った2029年が舞台です。
そこに出展する日本館の“目玉”を中心となって進めているのが,大竹阿礼先生です。
最新技術を駆使した未来シミュレーション「E計画」で,スーパーコンピューターがはじきだした日本の未来は…。
その報告を受けた上司は,大竹先生を外し,別の人をトップに就けます。
未来をシュミレーションする“要因(前提)”を外したり変更していきますが,そのどれもが同じ結果を出してきます。
それは「人類破滅」。
========== 「支社長がおっしゃったように,未来ゾーンは日本館にとって企画の目玉だはずだ。ウェブ万博で未来を描くんだから,もっと明るく華やかであってほしいな。大体“ビッグクランチ”なんて,起きると決まったわけではないだろ?(略)」 「恐慌が起きるかどうかではない」と大竹先生は言った。「問題は,いつ起こるか。きっかけだけの問題だと,私は考えています。(略)」 ==========その後,「明るい未来」を発表し,万博に備えます。そこに“恐慌の結果”がリークされ…。 “バタフライ・エフェクト”となるのは,自分たちの行動。 そして,それを高速自動取引システムが“察知”して,“ビッグ・フラッシュ・クラッシュ”が起こります。 その恐慌の先は…。 テレビやネットで,検索語を元にした「ランキング」が取り上げられます。 その上位が“世の中の動き”を表しているのですが,それが“実態”ではないと思うのですが,将来の推定に“活用”されるビッグデータは,「ランキングの集合体」といってもよいものです。 その怖さの一面を見せる話になっています。 難しい(?)展開でした。じっくり読むよりは,適当に飛ばしながら読むと面白さを感じられるような気がします。 本書で,人類の将来を考えてみませんか。