4-2 家庭人として (教育の再生)
雲が目立ちましたが、天気のよい一日でした。
平成21年に発行された冊子『教育の再生(要約)』は、愛知県の教育に所縁のある宮田力松氏の図書の要約本です。
宮田氏が指導されていた頃とは状況が変わっていますが、今も変わらぬこと、考えたいことが述べられています。若い先生や教職を目指す若者に、これからの教育を創っていく参考にしていただきたいと思います。
この冊子から紹介します。
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4 新しい日本人像
「期待される人間像」が公表され四十年余経過し、日本人の精神的風土も大きく変化している。二十一世紀に生きる日本人を想定し、「新しい日本人像」(私案)を提案することにした。(以下、4-1のつづき)
家庭人として
祖先を敬う場とせよ
祖先を敬うことは、日本人の美風の一つであり、慎み深い人と深い関係がある。家庭という血の通った者のいる所で、春・秋の彼岸、命日などに、その霊を祭る習慣を築くことである。
学校教育で「宗教的情操を養う」ことはお題目に終始し、その成果は乏しい。家庭こそ、その本領発揮に即応しい所である。
孝を行う場とせよ
孝は、自分を育ててくれた親のいいつけを守り、老後は面倒をみることに尽きる。しかし、戦後家庭環境は大きく変貌し、日本の家族主義は大きく崩壊し、社会問題となっていることも事実である。
日本人の平均寿命は世界で男子は四位、女子は一位であり、親を養うとはいうものの、実際問題として困難さが山積している。その方法は多様化するとはいえ、「面倒をみる」心構えは、絶えず持ち続けて行きたい。
しつけの場とせよ
躾の宇の如く、礼儀作法を身につけさせることである。礼儀作法は、人間の生きる基礎基本条件であり、これまで命がけで古人から若人にいたるまで励んできた。しつけの方法は、両親の模範、実行、それに加えて教師のほめること、叱ることを繰返し実行することである。
「鉄は熱いうちに打て」という。子供が小学校へ上がるまでに、身近な事を身につけさせておきたい。躾は、口で教えることではなく、行動を通して身につけさせることである。
いこいの場とせよ
家庭のもつ特色は、ゆっくりくつろぎ、休息できることである。みんなが心から和み、安全にかつ楽しく暮らす唯一の場である。
それを可能にするためには、お互いに心がけるべきことは明るい家庭を作ることである。各人の役割分担を責任をもって果たすこと、相互の愛情、思いやり、協力することが必要である。
家庭を愛の場とせよ
家庭は愛情によって結ばれた場である。
○ 母性愛は、愛の代表的なものである。
○ 家庭愛から、郷土愛、愛国心へと心がつながって行く。
○ 愛情によって結ばれた家庭こそ、社会安定の基盤である。
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注)これまでの記事は〈タグ「教育の再生」〉で
注2)掲載しているイラストは、学年通信(1993・1994年度)用に教員が描いたもので、冊子との関連はありません。
【関連】
◇後期中等教育の拡充整備について(第20回答申(昭和41年10月31日))?(文部科学省)
※ この答申で「期待される人間像」が述べられています。